2017-02-24

韓国:ダマス(日本法人)、「BUTTERFLY」商標無効事件 - MARKKOREA

韓国大法院(最高裁判所)2017.01.12.宣告2014フ1921判決

[事件概要]
日本法人「株式会社ダマス」が「キムヨンス」(韓国個人)を相手に登録商標“(図)”に対して旧商標法第7条第1項第11号所定の‘需要者を欺瞞する恐れがある商標’という理由をあげて商標登録無効審判を請求して第一審(韓国特許審判院)と第二審(韓国特許法院)においては勝訴したが、第三審(韓国大法院)において敗訴した。

[判決理由]
1.原審は下記のような事情をあげて、指定商品を‘ブリーフケース、ハンドバッグ、非貴金属製財布、名刺入れ、キーケース、おむつかばん、パスポートケース、レンジかばん、ボストンバッグ及びマネーベルト(衣服)’にし、下記の表の左側のように構成された本件登録商標(商標登録番号省略)が、‘卓球ラケット、卓球ラバー、卓球ボール、卓球ラケットケース、卓球用衣服、卓球用靴、スポーツ用かばん’などに使われて、下記の表の右側のように構成された本件先使用商標たちとの関係において旧商標法(2016.02.29.法律第14033号で改正される前のもの、以下同じ)第7条第1項第11号の需要者欺瞞商標に該当すると判断した。

本件登録商標 本件先使用商標

 

 

 

 

(1) 本件先使用商標たちは本件登録商標の登録査定日である1995.10.30頃少なくとも卓球用品と関連しては韓国内需要者に特定人の商標として認識できるほど知られていた。

(2) 本件登録商標は‘BUTTERFLY’部分のみで略称されるか、または観念される可能性あるので、本件先使用商標たちと呼称・観念が同一するため、標章が全体的に類似している。

(3) 本件登録商標の指定商品は全て本件先使用商標たちの使用商品と経済的に相当な牽連関係がある。

(4) したがって、本件登録商標がその指定商品であるかばん類や財布類に使われるとしたら、本件先使用商標たちの主要使用商品である卓球用品と類似する商品に使われた場合に劣らない程度に本件先使用商標たちの商標権者により使用されるものだと誤認される素地があって商品の出所に誤認・混同を起こして需要者を欺瞞する恐れがある。

2.しかしながら、ある商標が旧商標法第7条第1項第11号で規定している需要者を欺瞞する恐れがある商標に該当するためには、その登録商標や指定商品と対比される先使用商標やその使用商品が必ず著名する必要はないが、韓国内需要者にその商標や商品だというと、すぐ特定人の商標や商品だと認識できるほどは知られている必要がある。この場合、その先使用商標と同一・類似の商標がその使用商品と同一・類似の商品に使われているか、またはある商標が先使用商標と同一・類似するし、先使用商標の具体的な使用実態や両商標が使われている商品の間の経済的な牽連の程度、その他一般的な取引実情等に照らして、その商標が先使用商標の使用商品と同一・類似の商品に使われた場合に劣らない程度、先使用商標の権利者により使われていると誤認されるほどの特別な事情があってこそ需要者をして出所の誤認・混同を起こして需要者を欺瞞する恐れがあると考えられる。したがって、このような法理と記録に基づいてみると、

(1) 本件先使用商標たちが本件登録商標の登録査定日である1995.10.30.頃卓球用品と関連して韓国内需要者に特定人の商標として認識できるほど知られていたとみることは可能だが、卓球用品は本件登録商標の指定商品であるかばん類や財布類と類似するとはいえないだけでなく、経済的牽連関係も微弱するとみえる。

(2) 一方、卓球用品以外にスポーツ用かばん(卓球ラケットを収納するに適合するように卓球ラケットのサイズと様子に合わせて製作したものではなく一般的なスポーツ用かばんをいう)と関連しては記録上本件登録商標の登録査定日頃まで本件先使用商標たちが付着されたスポーツ用かばんが一部韓国内に輸入されて、本件先使用商標たちの中に一部標章が付着されたスポーツ用かばんが卓球雑誌等を通じて数回協賛商品として紹介された事情くらいのみ分かるだけだ。

(3) なお、本件登録商標と本件先使用商標たちは下記のように外観上の差異点が著しい。

本件登録商標は楕円の中に位置した‘MADAM BUTTERFLY’,‘WEATHER FRIENDLY LEATHER’という英文字が蝶の形状を取り囲んでいる様子なので、全体において図形部分が占める比重が文字部分に比してはるかに大きい反面、本件先使用商標たちは図形部分である枠線の中に‘Butterfly’という英文字が中央に大きく位置しているか(先使用商標1)、または図形部分が‘Butterfly’という文字部分の左側に比較的に小さく描かれていて(先使用商標3)、本件先使用商標1、3においては文字部分がもっと大きい比重で強調していて、本件先使用商標2はてんで図形無しで英文字のみでなっているし、本件登録商標の図形‘(図の説明本体内に挿入された画像)’は蝶の形状を非常に事実的で、かつ装飾的に表現したことである反面、本件先使用商標1、3の図形‘(図の説明本体内に挿入された画像)’、‘(図の説明本体内に挿入された画像)’は蝶の形状をモチーフとしたとは見られるが、非常に単純に図案化されている。

(4) このように本件先使用商標たちの主な使用商品である卓球用品は本件登録商標の指定商品であるかばん類や財布類と経済的な牽連関係さえ微弱であるし、スポーツ用かばんと関連しては本件先使用商標たちが韓国内需要者にあまり知られているとは考え難いし、本件登録商標と本件先使用商標たちが類似の程度もまた高いとはいえない事情に照らしてみると、たとえ本件登録商標の登録査定日頃スポーツ用品業者がスポーツ用具だけでなくスポーツ用かばん等を共に生産・販売する等事業を多角化する趨勢であったし、本件登録商標がその文字部分のうち‘Butterfly’のみで略称されるか、または観念される可能性がある点を考慮しても本件登録商標がその指定商品であるかばん類や財布類に使われる場合、卓球用品と同一・類似の商品に使われた場合に劣らないほど本件先使用商標たちの権利者により使用されていると誤認されるほど特別な事情があったとは言いにくい。

(5) したがって、本件登録商標は本件先使用商標たちとの関係において旧商標法第7条第1項第11号の需要者欺瞞商標に該当するといえない。

3.それでも原審は本件登録商標が旧商標法第7条第1項第11号に該当してその登録が無効になるべきだと判断したので、このような原審の判断には需要者欺瞞商標に関する法理を誤解して必要な審理を果たさなかったことによって、判決に影響及ぼした違法があり、これを指摘する上告理由主張は理由ある。したがって、原審判決を破棄し、事件をまた審理・判断するようにするため、原審法院に差し戻すことにして、関与大法官の一致する意見で主文のように判決する。