2017-03-27

知的財産を最大限活用するための効果的な商標ライセンス、- Novagraaf

知財ライセンスは、企業に収益をもたらし、ブランド認知度や著名性を高め、ブランド力を強化し、新市場への参入を容易にする可能性をもたらすが、一方、知的財産の所有権が曖昧であったり、知的財産の価値を知らなければ、財務上または事業上のリスクとなる可能性もある。ここでは、効果的な商標ライセンスについて説明する。

商標ライセンスとは、商標権者(ライセンサー)と、商品・役務に関する知的財産の全部または一部の使用権をライセンサーから(地域と期間を限定して)与えられる第三者(ライセンシー) との間の契約である。適切に管理されていれば、ビジネスの重要な収益源となるだけでなく、新しいブランド、新しい商品やサービスを新しい市場に展開する費用対効果の高い手段ともなりえる。

自社の商標資産を知る:ブランドを活用する前に、まず商標権を整理する必要がある。登録された商標権は何か、例えば、文字、図形、モノクロ、カラー、レイアウト、トレードドレス、形状、スローガン、コーポレート・ブランド、プロダクト・ブランドなどに分けることができる。また、現権利は、商品・役務に使用中か将来使用予定のものか、競合他社の商品・役務と比較した自社の商品・役務仕様や地域的な権利範囲など。知財ポートフォリオは定期的に見直し、権利侵害の有無を確認し、特定の商標についてライセンス供与が可能かどうか検討する。典型的なものとして、商標を「コア・ビジネス」と「ノンコア・ビジネス」に分類する。コア・ビジネスの権利は企業の主要な製品および市場を保護するものであり、ノンコア・ビジネスの権利は二次的な製品および市場によるものである。

創出、登録、管理、活用:次に、一般的な商標ライセンスや商標の活用のための戦略を作る必要がある。ただし、権利を登録するだけで商標ライセンス・プログラムができるわけではない。通常、企業は知的財産としての保護が必要な新ブランドを創出したのち特許事務所を訪れる。しかし理想的には逆なのである。知財戦略は、新ブランドの創出、保護、潜在的なライセンス供与となるため、本来の手順は以下のようなものであろう。

創出:商号、ブランド、商標構成、地理的範囲、出願戦略、リスク、予算などの事業戦略とブランド・ガイドラインの作成。

登録:決められた予算内で効率的に管理された商標出願と拒絶・異議対策。

管理:権利侵害の監視や権利行使と同様に、権利の有効性確認と権利者の変更、権利の更新を含む商標ポートフォリオの維持等の積極的な管理。

活用:ライセンス供与、権利の譲渡、スピンオフ、合弁事業などの商用機会を評価する。未使用または不要な権利については、権利譲渡は比較的短時間で迅速に行うことができるが、スピンオフや合弁事業はより多くの時間が必要でより大きなリスクを伴う。対照的に、ライセンス供与はリスクが限られ、より少ない投資で済む場合が多い。

ライセンス供与の機会評価する:ライセンス供与は、企業が商標ポートフォリオを持ち、ブランドが確立した後の手順となる。ここでも、どの権利をどの市場でライセンスすべきかの決定に役立つのはビジネスプランだ。また、ライセンシーを慎重に選ぶ必要がある。理想的には、市場実績のある信頼できるパートナーがよい。ライセンシーを選ぶときのチェック・ポイントは、1.ライセンサーのビジネス(コア・ビジネスの価値)について知見があり、理解しているか、2.ライセンサーの長期的な目標を共有できるか、など。ライセンスの状況はそれぞれ固有であり、標準的なライセンスモデルはないが、コラボレーションを始める前に、以下の点について合意する必要がある。1.ライセンス供与する権利、2.エリア、3.排他性、4.サブライセンスの可能性、5.収益モデル(ロイヤルティまたは一括払い)、6.コーポレート・アイデンティティ・ガイドラインやハンドブック、7.報告要件。また、成功のための評価方法も設定する必要がある。ブランド価値を反映したロイヤリティ・レートは、収益を評価するための効果的な方法である。しかし、一晩で成功するとは思わないほうがいい。ライセンスにはパートナーとの長期的な協力関係が必要であり、信頼は成功の鍵となる。

Novagraafは、企業の知財ライセンスに関して、ライセンス戦略の確立と実施、契約書の作成、パートナー間の紛争処理、管理など、各国の国内法に合わせてアドバイスすることができる。

本文は こちら (IP licensing: are you making the most of your assets?)