2017-04-10

ベトナム:模倣品対策を強化 - Tilleke and Gibbins

ベトナム当局は、近年の模倣品対策の強化として、2016年に知的財産権行使を強力に推し進めた。政府の公式統計によると、すべての政府機関で知的財産保護の活動を増やした。通常、模倣品対策や知的財産権侵害の中で最も複雑なケースを扱うベトナム科学技術省(MOST)の査察局が取扱った事件件数は2012年に僅か70件程度であったものが、昨年は約300件に上った。4年前、警察は65件程度の事件を取扱ったが、昨年は約225件に上った。ベトナム商工省(MOIT)に属する市場管理局(MSD)は、現在でも模倣品防止の執行機関として中心的な役割を担っているが、2015年に取扱った模倣品防止や知的財産権侵害案件は2,282件であったものが、2016年には4,874件に急伸した。税関も模倣品対策として、取締りと国境管理を強化しているようだ。
また、制裁に伴う処置も厳しくなってきている。幾つかの事件で、罰金刑の上限近くの24,000米ドルが科せられたように、罰金の金額が高くなっているほか、2016年に最大3か月の営業免許の停止など、より厳しい制裁が科されている。この種の制裁は2016年に少なくとも25回科せられた。数年前までの制裁は「軽い懲らしめ」程度の罰金が一般的であったが、今では500米ドルから1,000米ドルの範囲で従来の2~3倍高くなる傾向にあるようだ。

近年、ベトナムでは偽造酒や偽造医薬品のように、生命を脅かす可能性のある物品に関する事件にのみ刑事罰を適用していると、権利者が懸念を表明していた。しかし、2016年に警察は、衣類、バッテリー、化粧品、自動車部品を含む模倣品に範囲を広げて取締りを行った。注目すべきケースは、警察が取扱った化粧品に関するホーチミン市の事件で、警察は模倣品取引をしているという女性を摘発し、口紅、クリーム、ローションの偽造品を3,500点以上押収した。その女性は、模倣品取引、密輸等の罪で11,000米ドルの罰金を科され、模倣品はすべて破壊された。
模倣品事件の増加は、模倣品そのものの増加によるものである一方、明らかにベトナム政府の対策強化を反映している。2016年初期までに、執行機関は全国規模で模倣品対策活動を強化するよう、政府から指示を受けてきた。

注目すべきは、政府が模倣品対策や知財権侵害対策で執行機関の連携を強化するために、財務省、MOIT、MOST、公安省に対し、共同で関連法規を見直し、強化するよう指示したことだ。すべての執行機関が同じ土俵にいることが、模倣品や知財権侵害事件を根絶させるために必要な最初のステップとなる。各機関の協力はある面では制限されたままであるが、それは模倣品対策活動におけるこれまでの執行機関の最も目に見える努力の結果でもある。
その結果、引き続き2017年も模倣品対策の取組みは強化される見通しで、最近MOITはMSDに対して、模倣品検査やレイド(摘発)を広い分野の消費者製品に実施するだけでなく、これまでは見えにくかったものの、2016年に拡大を見せた農業分野の肥料や農薬の模倣品にも焦点を当てるように求めた。さらに、目を向けておくべき将来の発展に重要なものは、知財事件における予備的差止め命令の請求制度に関する改正の可能性であろう。

本文は こちら (Vietnam Steps Up Fight Against Counterfeit Goods)