2017-07-11

カナダ:商標法改正案の提案内容 - Marks & Clerk

カナダの改正商標法案(Bill C-31)が提案されている。しかしながら、新しい規定の最終決定に時間を要しており、カナダ知的財産局(CIPO)は、改正商標法の施行が2019年初旬になる見込みであると示唆している。

この改正案は、マドリッド協定議定書、シンガポール条約、ニース協定の3つの商標に関する国際条約に加盟することで、(a)出願の一般規則、(b)マドリード協定議定書の実施、(c)異議(opposition)、第45条(使用)、反論(objection:情報提供)手続における重要な規定を含んでいる。1)出願の一般規則(Rules of General Application): この法改正の多くは、CIPOとその顧客との間の通信に関するものであり、通信手段を整備して近代化することを意図している。改正案には、改正法の施行前に申請された商標出願の経過措置も含まれている。

注目すべき改正点は以下のとおり;

  • 登録に反対する申入れの提出に関する規定:係属中の商標登録に対する第三者の申入れとその手続き。
  • 分割出願の統合と商標分割の要件と手続き:出願人が審査中や異議申立中に出願商標で指定した商品やサービスを2つ以上の商標に分割することができる新しい実務規定。これにより、第三者から申立てが行われた場合などに、特定の商品やサービスに関して出願手続きを進めることができる。
  • 国際分類ごとの出願手数料と更新手数料。カナダがニース協定に加盟し、ニース分類を採用することにより、出願人は国際分類ごとの出願手数料(登録料はない)を支払う必要がある。ただし、複数区分を指定する商標は、出願時と更新時にニース分類ごとの追加料金を支払う必要がある。出願時の指定区分数よりも多くの区分数が指定されていると審査官が判断した場合、出願人は公告に先立ち、追加区分数に相当する料金を支払うよう求められる。
  • 登録商標の更新手続きは、存続期間満了日の6ヵ月前から6ヵ月後までの12ヵ月間で行わなければならない。改正法施行後に更新期限を迎える商標は、改正法の施行前でも更新手続きを行えうことができるが、存続期間は改正法が新たに定める10年間となる。
  • 電子的な通信に関する規定では、CIPOが通信を受け取った日が休日や週末であっても受領日とみなす。現在は、CIPOの休業日に受け取った通信は、翌営業日を受領日とみなしている。

2)マドリッド協定議定書への加盟マドリッド協定議定書により、カナダの出願人は一出願で国際商標を出願することができ、外国の出願人はマドリッド協定議定書を通じてカナダに商標出願することができる。改正法では、国際登録出願の登録認定に関する本国官庁の登録官としての責任を定め、異議申立てや第45条の取消手続、更新、権利者変更・訂正を含む国際登録出願の処理方法を定めている。

3)異議(opposition)、第45条(使用)、反論(objection)手続改正商標法案は以下の注記の修正を含む:異議申立および反対手続きにおける書面による一連の申請とサービス(Sequential filing and service of written representations in opposition and objection proceedings);

  • クロス審査における証拠提出に関する被申立人との責任共有(Shared responsibility in cross-examination with the examined party to be responsible for submission of any undertakings)
  • 証拠を電子的に提出する能力(Ability to submit evidence electronically)
  • 商標異議委員会に対する手続の明確化:同じ通信手続きが3手続(異議申立、第45条、反論)すべてに適用されることの確認(Clarification of procedures before the Trade-marks Opposition Board – confirmation that same correspondence procedures apply to all three procedures)
  • 登録官は、当事者に対してヒアリングを要求する通知を行わず、改正案はヒアリングを行う期間を設ける(Registrar will no longer issue notices advising parties they may request a hearing; the proposed amendments set a prescribed time period in which a hearing may be requested)
  • 異議の対象となる分割出願の取り扱いに関する規定(Provisions regarding the treatment of divisional applications which are the subject of opposition)

CIPOは、改正商標法案に関して、企業、個人、団体などからのパブリックコメントを求めており、現行の改正案は施行前に修正される可能性がある。

本文は こちら (Canada Proposes New Trade-marks Regulations)