2017-07-12

ベトナムにおける商標保護、「SYM」の例 - AGELESS IP Attorneys and Consultants

1990年代半ば以降、Sanyang Industry社の登録商標「SYM」(補足:台湾の三陽工業が製造するオートバイのブランド)は、リーズナブルな価格と品質で素早くベトナム消費者の注目を集めた。ベトナムでのシームレスな取り組みで20年以上の開発を通じて、「SYM」は東南アジアのオートバイ市場で最も競争力のある会社の1つとなった。事実、Sanyang Industry社が正当な権利と利益を保護するための適切な措置をしているにもかかわらず、「SYM」は明らかにその名声にただ乗りする侵害行為の標的となっている。

 しかし、侵害手法の複雑化が地方政府に多くの困難をもたらしており、ベトナムでは知的財産権侵害との闘いは決して容易ではない。Ageless IP Consultants and Attorneys(Ageless)は、産業財産公報を定期的に調査していた時に、商標形態と指定商品で、Sanyang Industry社の登録商標と類似する商標出願を発見した。

Agelessは、この出願商標を瞬時に識別し、権利者に対して早期に国家知的所有権庁(NOIP)に異議を申立てるよう連絡した。Agelessはベトナムにおける現行の商標審査実務において、3文字商標のうちの1文字が異なるだけでは混同するほど類似するとは判断されにくいため、異議の成立が難しいことを認識していた。また出願人には、評判の良い商標にただ乗りすると同時に、商標審査を克服するため十分に検討したであろう努力がみられた。商標出願が実体審査で拒絶された場合に、出願人は慣行に基づいて商標審査官と争うことも可能だ。

 異議不成立のリスクを回避するために、Agelessは「赤」と「青」の2種類の色でスタイライズした文字「Y」について強調した。Agelessは、文字「Y」が商標全体の明確な特徴であることであると主張した。外観的印象は、出願商標と登録商標との間に大きな差異はない。さらに、Agelessは異議を盤石なものにするため、ベトナムにおいて「SYM」商標が広く使用され、よく知られていることを証明するためにNOIPに根拠を裏付けるサポート資料を提出した。そのため、出願人は「SYM」商標の認識を否定することが難しくなった。なぜならば、両当時者が同じビジネス分野とマーケットで事業を行っているからだ。したがって、出願人の商標デザインは、三陽工業の商標と意図しない偶然の一致などではなく、侵害の意思があったことに議論の余地はなかった。

Agelessの主張を受けて、NOIPは出願人に応答するよう通知した。Agelessが提示した資料、主張、および事件全体を考慮して、NOIPは異議申立てが適切かつ合理的であることを確認する通知を出したのち、出願商標の拒絶通知を公式に発行した。加えて、「SYM」商標は、サポート資料に基づいてベトナムでも引き続き評判の高い商標として記録される。

商標には、企業にとって最も重要な資産としての価値がある。商標は、企業の商品やサービスを競合社と区別し、消費者の印象を高め、忠誠心を築く上で重要な役割を果たす。また、商標は積極的に監視され、第三者の違法な使用から保護されなければならない。より開放的な経済環境では、企業は商標の重要性を認識しているが、資産の保護に関する必要な知識が不足していることがある。商標の保護とは、侵害者による同一または類似する商標の使用が消費者に混同を生じさせることから発生する遺失利益から権利者を保護することである。

本文は こちら (Protecting SYM trademark in Vietnam)