2017-10-17

WIPO:第57回WIPO加盟国総会の結果概要 - 特許庁

平成28年10月2日から11日までスイス・ジュネーブにおいて開催された第57回WIPO加盟国総会には191の加盟国と多数の政府間機関(IGO)、非政府機関(NGO)の代表が参加した。日本からは特許庁の宗像長官、嶋野特許技監を始めとする代表団が出席した。今次総会では、加盟各国及びオブザーバからの一般演説の後、WIPOの各委員会からの報告事項等の議題が審議され、2018/19年度計画予算案の承認のほか、WIPO外部事務所の新規開設、遺伝資源等政府間委員会(IGC)のマンデートの検討等、諸々の重要事項について活発な議論が行われた。主な議題の結果は、以下のとおり;

(1)2018/2019年度計画予算案
PCT同盟、マドリッド同盟等、複数の同盟に共通する支出を各同盟がどのように分担するか、その割当て方法が争点になっていたが、今後、計画予算委員会で議論することが合意され、2018年初めから2019年末までの二年間の計画予算案が承認された。

(2)遺伝資源等政府間委員会(IGC)の作業計画の更新
常設委員会でないIGCは、二箇年度ごとに作業計画を更新する必要がある。先進国と途上国の間で委員会会合の開催回数、日数、形式等が争点となっていたところ合意に至り、2018/2019年度の作業計画が承認され、遺伝資源(GR)と知財との関係、伝統的知識(TK)、伝統的文化表現(TCEs)の保護について、当該委員会で引き続き議論していくことが決定された。

(3)WIPO外部事務所の新規開設に関する議論
第55回加盟国総会において、外部事務所開設の基本原則、2016~2017年及び2018~2019年にそれぞれ最大3箇所ずつの外部事務所を新たに設けること、アフリカ地域を優先して設置することが決定され、昨年の第56回加盟国総会で、2016~2017年はアルジェリア、ナイジェリアに開設することが決定された。今次総会では、そのほかの開設地について議論されたものの合意がなされず、来年の第58回加盟国総会で2018~2019年に開設する最大4箇所について議論が行われることとなった。

(4)意匠法条約(DLT)採択のための外交会議の開催に関する議論
意匠制度の手続要件の調和を目的とするDLTの採択のための外交会議の開催に関しては、TK等の出所開示要件の規定と技術支援の規定について合意できなかったため、来年の第58回加盟国総会で引き続き検討することになった。

(5)フィリピン知財庁の国際機関承認
フィリピン知財庁が申請していた国際調査機関(ISA)・国際予備審査機関(IPEA)化に関しては、我が国を始め多数の先進国・途上国が支持を表明し、承認された。

本文は こちら (2017年世界知的所有権機関(WIPO)加盟国総会の結果概要)