2018-01-26

ロシア:混同への疾走、バーバリーの戦闘 - GORODISSKY & PARTNERS

バーバリーは、世界で最も認識しやすい名前の1つだ。バーバリーの衣類やアクセサリーの多くには、疾走する馬に騎乗する騎手が、バーバリー・チェックと共に描かれている。疾走する馬と騎手は、国際分類25類を含む商品を指定して国際登録番号732707でロシア商標として登録されている。

中国の喜地山国际实业有限公司(以下、中国企業)は、同じような疾走する馬と騎手を2014年に商標出願し、国際分類25類の商品を指定して登録番号575778を取得した。

中国企業の商標が登録されたのは、ロシア特許商標庁がこれらの商標間に類似点を見出だすことはなかったのか、審査官が商標登録データベースで先に登録されたバーバリー商標を見つけなかったからだと考えられる。しばらくしてから、バーバリーはこの中国企業の商標の存在に気づき、類似を理由に商標の登録は無効だと訴えた。中国企業は、バーバリーの訴えに対して、二つの騎馬は反対方向を向いていることを含めて外観が異なっていると主張した。中国企業は、バーバリーの騎手は武装した騎士であるのに対して、中国企業の騎手は武装しておらず、オーバーコートから出ているマフラーのようなものには識別力のある会社名を示す文字が書かれている。馬の頭と尾は異なった様式であり、バーバリー商標は英国、軍隊、戦争と関連しているかもしれないが、中国企業の商標にはそのようなものを想起させるものはないと主張した。

それらを踏まえて、特許紛争評議会(Chamber Of Patent Disputes)は、中国企業の主張を検討した上で、以下のようにバーバリーの主張に説得力があると結論づけた。

中国企業の商標は、標準的なラテン語フォントで「HILLSUN」と銘が記されたマフラーのようなものが付いているオーバーコートを着た騎手が描かれており、バーバリーの商標は、はためく紋章旗を持つ武装した騎士が描かれている。

評議会は、画像が消費者によって認知されるときには、まず外観の輪郭に注意が向き、細部はあまり記憶に残らないとの認識を示し、比較される商標の類似性は消費者が受け取る一般的な視覚的印象によって決定されるとし、今回の場合、馬の輪郭が一致し、色表現が同じであり、それらが疾走する馬と騎手のイメージという同じ観念を共有している。さらに、様式のテクニックは同じで、両商標は細部を特定する精密なグラフィック・シルエットの輪郭で描かれている。

中国企業の商標にある「HILLSUN」という文字要素は、両商標が類似するという結論には影響しない。なぜなら、文字要素の字体は小さく、消費者の注意がそれに向かわないからだ。英国の騎士の特徴から、英国および戦闘を想起させるというバーバリー商標に関する中国企業の主張に筋が通らない。これは英国の騎士のイメージを認識するかどうかは主観的なものであるという事実によって確認されるかもしれないが、英国を指すとみられる特徴には識別性がないからである。

評議会は、バーバリー商標と中国企業の商標が、共に中世やルネサンスを想起させるため、視覚的、観念的な類似性を高めているかもしれないと指摘した。結局、中国企業の商標登録が取り消された。そしてバーバリーの騎士は気ままな疾走を続けている。

本文は こちら (GALLOPING TO CONFUSION)