2018-06-01

日本:2017年以降の音商標として登録商標 - GMOブライツコンサルティング

5月21日、エバラ食品工業株式会社が、「♪エ・バ・ラ、焼肉のたれ」のサウンドロゴが商標登録されたことを発表しました。

既に登録されている音商標には、大正製薬社の「ファイトーイッパーツ」、小林製薬社の「ブルーレット置くだけ」、伊藤園社の「おーいお茶」などがあります。2015年4月1日からサウンドロゴを含む音情報も新たに商標として登録できるようになり、現時点で346件の出願商標の確認ができます。下記、2017年以降に登録に至った音商標と共に音商標についてご紹介いたします。

登録に至った音商標

(左)登録5991309:「はだにいいことはだラボ」、ロート製薬株式会社から出願された商標。(中央)登録6003246:「マンナンライフのこんにゃくばたけ」、株式会社マンナンライフから出願された商標。(右)登録6026708:「本商標は、「ヤクルト」という人の声\が聞こえる構成となっており、全体\で約0.4秒の長さである。」株式会社ヤクルト本社から出願された商標。これらいずれも、商標名を読むと、自然と頭の中でサウンドロゴのメロディが流れだすのではないでしょうか。音商標の登録は、企業の知的財産の保護を強化し、ブランド戦略を後押しすることがねらいであると考えられます。
また、現在出願中であるオリンパス社(商願2015-029815)の下記商標は、社名や商品名が含まれない、音だけで構成された商標です。

”音だけ”の商標の場合、その「音」を独占するということになるため、その音を聞くだけで、特定の社名や商品名がイメージできる、という高い周知著名性がなければ商標登録できないとされています。登録事例としては、大幸薬品社の正露丸のラッパのメロディーがあります。引き続き、今後の動向に注目です。

音商標の登録要件とは?
音商標を登録している企業の多くは、テレビCMやラジオCMでサウンドロゴを使用しており、いずれの登録商標も多くの消費者に認知されている曲ばかり。サウンドロゴは、音と関連づけることで、耳に残りやすく、かつ社名や商品名を覚えてもらう方法の一つとして利用でき、企業にとって大切な資産となっています。
音商標の登録要件としては、役務「屋台における中華そばの提供」について、「夜鳴きそばのチャルメラの音」といった、その商品や役務に慣用されている商標は、登録できません。また、視聴者が楽曲としてしか認識しないような音や、商品「子供靴」について歩くたびに鳴る「ピヨピヨ」という音のようなものは、音商標として登録を受けることはできません。一方で、上記ヤクルト本社の登録事例のように楽譜にできない音であっても、文章で説明することで登録が可能となります。

サウンドロゴは、著作権?商標権?
サウンドロゴについて商標登録を受けた場合、サウンドロゴには、著作権と商標権の両方が成立することになります。著作権の権利者と、商標権の権利者が同一の場合は問題は生じませんが、同一でない場合は、著作権の権利者が使用を拒んだ場合、商標権の権利者が使用することができなくなるため、出願する前に、著作権を譲ってもらうなどの調整が必要になる場合があります。

新しい商標の登場で変わる企業戦略
音商標としての出願は、今後メロディーだけでなくパソコンやスマホ端末機器の起動音や着信音など、幅広い”音”の出願が予想できます。新しい商標の登場により、これらの商標の特徴を理解した有効的活用が企業戦略のひとつとなっていくため、他者との識別性が高く親しみやすいサウンドやメロディーを考案するなどの戦略も必要になってくるのではないでしょうか。

本文は こちら (2017年以降の音商標として登録商標をご紹介)