2018-11-08

ベトナム:悪意のある商標出願に勝利 - Ageless IP Attorneys & Consultant

商標登録されているか登録されていないかにかかわらず、著名な商標の評判を悪用するために、不正の目的で商標を出願する、いわゆる「悪意の商標出願」の問題が世界的に増加している。最近、ベトナムで商標局の審査の判断を誤らせる巧妙な手段で商標登録するフリーライダーが増えている。今回のものは、株式会社斗山(Doosan Corporation、以下「斗山」:韓国の重工業を中心とした企業グループ)の登録商標に対する悪意の出願があった。

斗山は1896年に設立され、120年にわたり電力、淡水化された飲料水、建設機械、高度機械、防衛用品、住宅、高速道路、橋梁、化学処理機械、産業用エンジンなどを提供するインフラ支援ビジネスの分野で代表的なグローバルブランドだ。斗山の評判は、フリーライダーにとって不当な利益を得る魅力的なターゲットとなった。
2015年、斗山と同じ業界のベトナムの会社が、シリンダー、ピストンリングなどを指定して「」という商標をベトナム国家知的財産庁(NOIP :National Office of Intellectual Property of Vietnam)に出願した。これは、既存の審査基準を回避する巧妙なケースだ。

この出願商標と登録商標との唯一の違いは、2つの母音「OO」が2つの子音「QQ」に置き換えられている点だが、全体としては大きく異なっている。称呼の点からは、「DQQSAN」は「DOOSAN」のような発音できる単語ではないため、4つの音節/ di:// kw // kw //sæn/の並びで発音することになる。この種の商標に対して、商標審査官が必要な注意を払わなければ、審査システムや検索ツールで捕捉されないことがある、あるいは、拒絶した場合に出願人から差異について主張されることがある。
しかし、この悪意の見られる出願人は大文字の「Q」をはっきりと示している。文字「Q」の形状を構成する書体の一般的な方法は、単に文字 「O」に尾ひれが付いたものであり、文字「Q」の活字によっては、尾ひれを「O」に交差させたもの「」、「O」に接触させたもの「」、または「O」の外に這わせたもの「」などある。このように「DQQSAN」の文字「Q」は、文字「O」にちょっとした尾ひれを付けただけのものだ。もしちょっとしたトリックで、文字「O」を強調し、尾ひれをぼやかしたなら、消費者が混同する虞は十分高くなる。実際、フリーライダーはこれらのトリックをよく使っている。 
上記の趣旨に基づき、Ageless IP Attorneys & ConsultantはNOIPに異議を申立てた。NOIPはこの主張を認め、「DQQSAN」商標の登録を拒絶した。

ベトナムのような新たな新興市場での競争が激しく、悪意の商標出願の方法が絶えず変化していることから、ベトナムの商標所有者は、商標権の侵害からの保護にもっと注意を払わなければならない。競合者が知的財産法制度の隙間を利用して利益を得ようとしている場合はなおさらだ。

本文は こちら (Trademark in Vietnam, long bad faith story)