2019-07-08

韓国:改正「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」の施行に関するご案内 - Kim & Chang

営業秘密の保護をより強化するために、改正された「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律(以下、営業秘密保護法)」が2019年7月9日から施行される予定です。

1月にご案内した通り(下記を参照)、改正営業秘密保護法は、①営業秘密の認定要件を緩和して保護対象を拡大し、②故意の営業秘密侵害行為に対し3倍まで損害賠償責任を負わせる「懲罰的損害賠償制度」を導入しました。また、③刑事処罰の対象である営業秘密侵害犯罪の類型を拡大する一方、その処罰の量刑を大幅に引き上げる内容を骨子としています。

特に、本改正法は、営業秘密侵害犯罪の類型を大幅に拡大したという点に最も大きな意味があります。新しく追加された犯罪類型の一部(営業秘密を指定された場所外に無断で流出させる行為、営業秘密の削除・返還要求に応じない行為等)は、民事上の侵害行為の類型にも含まれていないものであるため、今回の改正により刑事責任の対象範囲が民事責任の対象よりも広く拡張されたとの評価もあり、営業秘密侵害に対する制裁の強化基調を確認できる部分でもあります。

さらに今回の改正で処罰の範囲を拡張したことにより、営業秘密侵害事件が法的紛争化する事例が増加するだけでなく、営業秘密流出時の実務的な対応とその紛争の形態にも変化をもたらすことが予測されます。例えば、営業秘密を侵害した相手方に警告状を発送した場合に、相手方が応じなければ、別途の刑事措置を取ることができます。また故意の侵害の根拠として相手方が警告状に応じなかったことを提示することで懲罰的損害賠償を請求することも可能になるなど、これまでとは異なる紛争状況につながる可能性があります。

今回の改正により、企業の営業秘密保護が強化されましたが、同時に営業秘密侵害として攻撃されるリスクも高まったため、企業の営業秘密対応戦略を見直す必要が生じています。