2019-08-28

英国:「Glenfield」と「Glendfiddich」はそれほど似ていない - R. K. Dewan & Co.

Glenfield(グレンフィールド)は、ブレンデッド・スコッチウイスキーで知られるムンバイに拠点を置く会社で、Glenfieldブランドの所有者であるVivek Anasane(以下「Vivek」)は、英国でGlenfieldを販売しようとし、UKIPO(英国知的財産庁)にスコッチウイスキーを指定して33類に「Glenfield」商標の登録を申請した。

ウィリアム・グラント&サンズ(以下「ウィリアム・グラント」)は、シングルモルトウイスキーのGlendfiddich(グレンフィディック)の所有者として世界的に知られている。ウィリアム・グラントは、Vivekの商標登録に異議を申立てた。ウィリアム・グラントは「GLENFIDDICH」商標を理由として、Vivekの「Glenfield」商標が外観上及び称呼上に類似するとし、以下を理由に商標間に混同の虞があると主張した。
*両商標には接頭辞「GLEN」が含まれている
*両商標には、接頭辞「GLEN」以下の要素に文字「F」と「D」が含まれている
*両商標が使用する(予定の)商品は同じである

「GLEN」という言葉は、「(スコットランドやアイルランドの)狭い渓谷」を意味するが、 Vivekは、接頭辞「GLEN」を持つ第三者の商標が多数登録されており、個人や団体の誰もが独占権を主張できないと反論した。

UKIPOは、ウィリアム・グラントの商標に対してVivekの商標に含まれるさまざまな要素を評価し、「唯一の類似点は、一般的な消費者が容易にスコットランドを想起する可能性が高い「GLEN」の要素が共通することだ」と指摘し、また、両商標で使用される色の組み合わせ(緑色と金色)の類似性にも注目したが、そのような類似性は、消費者が出願人の商標を目にしたときにのみ、消費者の頭に異議申立人の商標を一瞬浮かばせるものにすぎないと判示した。

ウィリアム・グラントは、遅くとも1960年以来「GLENFIDDICH」商標を広範囲に使用しており、該商標が英国全体で「相当な程度の」のれんと評判を獲得したと主張した。これに関して、UKIPOは、「商標の評判は、厳密な意味で単に想起する可能性を理由として、混同の虞を推定する根拠とはならない」との認識を示した。

UKIPOはさらに、Vivekのラベルにはウィリアム・グラントの商標にはないさまざまな要素が追加されていることに注目した。これにより、外観上大きな違いが生じるため両商標は類似するとは言えず、この違いが類似性を上回っているため、商標間での混同はあり得ないと結論付け、ウィリアム・グラントの異議申立てを認めなかった。

本文は こちら (Glenfield v. Glenfiddich: Not so similar)