2019-11-08

中国:登録商標による権利侵害を認めた事例 - UNITALEN

登録商標の規範的な使用も権利侵害と認定されるのか ―「TATA木門」の「TATA橱柜」撃退記

基本概要:
  2017年11月、北京闥闥同創工貿有限公司(TATA木門公司)は、ハルビン市のある家庭用品ショッピングモールの「TATA木門」専売店の上の階に「TATA橱柜 全屋定制(家全体をカスタマイズ)」という名の店舗が開設されたことを発見した。当該店舗は入り口には「TATA橱柜 全屋定制」、「TATA」の文字の看板が使用され、店内に陳列された主な商品は食器棚、玄関収納棚および衣類収納棚などであり、店内の半製品の板の上にはいずれも「TATA」、「TATA全屋定制」のラベルが印刷されていた。
  調査の結果、当該店舗は黒龍江省ハルビン市の劉某が開設したことが分かった。劉某は2016年から第20類「家具」などを指定商品として相次いで「TATA」、「TATA橱柜衣柜」、「TATA全屋定制」の商標登録を出願し、そのうち第19054373号商標「TATA」商標はすでに2017年3月7日に「家具、食器棚」などを指定商品として登録が許可されていた。その店舗内の「食器棚、衣類収納棚」などの商品はいずれもその認定された商品として規範的な取扱いがなされていた。劉某は自己の名義で「TATA」のほか、さらに他の有名な家庭用品ブランドを商標として登録出願しており、悪意の冒認出願であることは非常に明らかである。
  2018年4月27日、闥闥公司は第19054373号商標「TATA」に対する無効審判を請求し、被告に対して「TATA」商標の使用停止を要求し、さらに第3647066号商標「(下図1)」および第9242066号商標「(下図2)」が「非金属製ドア」を指定商品として著名商標を構成していることの認定を主張した。

法院の判決:
  ハルビン中級人民法院は審理を経て次のように判断した。権利侵害標識は登録商標であるが、その登録商標はTATA木門の先使用馳名商標を複製、模倣したものであり、当該登録商標の使用は容易に消費者の誤認・混同を生じさせることから、権利侵害の成立を認定し、使用停止、および50万人民元の賠償を命じる判決を下す。

事件の意義:
  本件は先使用馳名商標により後願登録商標の使用を禁じるもう1つの成功事例であり、「TATA木門」商標がはじめて馳名商標に認定された事例でもある。

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