2020-04-03

オランダ:商標権侵害訴訟におけるExpert社が示した証拠の重要性 - Novagraaf

ハーグ地方裁判所による最近の判決は、商標と商号の使用に関する一貫した包括的な証拠を文書化することの重要性を示している。NovagraafのAnca Draganescu-Pinawin、Hoogenraad&HaakのDanië lHaijeとBram Duivenvoordeが、OutletExpert社に対する商標権侵害訴訟でExpert社を支援し、Expert社の成功に貢献した。

ブランド認知度調査、売上高、市場レポート:これらは商標権侵害や商号の違法使用に関する訴訟においてどの程度重要なのだろうか?これに対するシンプルな回答は、とても重要だということだ。
このことは、電子機器の国際的な小売チェーンのExpert社とOutletExpertという名前の電子機器小売業者との間の最近の紛争にはっきりと示されている。今回の注目すべき要因は、Expert社が広い地域で一貫して使用しているブランド名の強さを文書化していたことだ。

混同のおそれを立証する
OutletExpert社は、OutletExpert(図右)という名前で店舗が「アウトレット商品」に特化したことを単に示しているだけだと主張したが、Expert社(図左)は、自身の商標の使用を通じて高いレベルの識別性を獲得したという証拠を提出したのち、ハーグ地方裁判所が判決を下した。
裁判所は、公衆がOutletExpertという名前から「Expert社のアウトレット」を意味すると認識し混同するおそれがあると認定した。裁判所はまた、OutletExpert社がExpert社の商号を侵害したという主張も認めた。

オランダで商号の名声を示すためにExpert社が提供した証拠の質が非常に重要であった。Expert社は、OutletExpertという名前の使用が、OutletExpert社がExpert社と提携または何らかの関係していると公衆が考える重大なリスクを引き起こしたことを示すことができた。裁判の結果、OutletExpert社はその名前を変更しなければならなくなった。 

一貫した包括的なアプローチ
Expert社のマーケティング戦略の特徴はブランドの一貫性にある。これは商標紛争の貴重な資産となるもので、ブランドの使用または名声を証明するために証拠を収集する必要がある場合、ブランドが一貫して使用されている資料を示すことができる。ただし、Expert社が提出した証拠が非常に説得力のある理由はこれだけではなく、資料も非常に包括的なものであった。 

Expert社は、説得力のあるブランド認知調査結果を提出しただけでなく、第三者の市場レポート、売上高、市場シェア統計やマーケティング活動の証拠も提供した。これらの証拠は、オランダにおける「Expert」商標の名声だけでなく、他のEU加盟国における商標の名声にも関連するものであった。さらに、証拠の多くは第三者によるもので、信頼性を補強するものであった。

この事例は、マーケティングチームとブランディングチームの作業を文書化することの重要性を再度示している。文書化したものを収集して定量化することにより、訴訟をする必要が生じたときも、企業はより強力な立場に立つことができる。

知財とマーケティング:複合的な力
知財とマーケティングはビジネスの異なった分野で存在するが、どちらの分野でもビジネスの成功に重要な役割を果たしている。複合的に見れば、マーケティングに対して計画されたアプローチをサポートする思慮深い知財戦略などによって、知財とマーケティングの機能を相互に強化させることができる。

効果的なマーケティングは、競争の激しい環境で企業の地位を確立し管理するのに役立つ。この観点から、マーケティング部門は知財部門と同じ目標を共有している。お互いに協力することで、両者の分野でブランド価値を強化し、企業が選択した市場での存在感を強化するのに役立つことができる。

本文は こちら (Backed by evidence: OutletExpert infringes Expert trademarks)