2020-07-13

米国:Booking.comが普通名称に関する商標問題を克服した理由 - Novagraaf

米国最高裁判所(以下、最高裁)は、オンライン旅行予約サイトBooking.com の主張を認め「Booking.com」がいわゆる普通名称ではないという判決を下した。
Booking.comは、ドメイン名であるブランド名が商標として認められるかどうかを争う裁判で、普通名称の最後にドットコム(.com)を追加したブランド名が商標として登録可能であると主張していた。 

最高裁は、6月30日の判決で登録を認める判断を示した。判決における多数意見は、普通名称にドットコム(.com)を追加した標章は、消費者から普通名称であると信じられている場合のみ、特定の区分の商品・サービスにおける普通名称として認識されるというものであった。

ドットコム(.com)標章が普通名称かどうかの評価
ギンズバーグ判事は、ドットコム(.com)標章が普通名称であるかどうかを評価するための原則を次のように示した。
1. 普通名称とは、特定の区分における特性や例というより、商品・サービスの「類型(class)」を指すものである
2. 文字が複数の用語から構成される場合、識別性の評価は文字全体の意味を考慮して行う必要がある
3. 用語の持つ意味は消費者によるものである

消費者は、Booking.comを一般的にオンライン旅行予約サービスの類型を意味するものとして認識しているわけではないため、「Booking.com」は普通名称の標章とはならない。  

ウェブサイトを指定する以上のもの
最高裁はまた、普通名称にドットコム(.com)を追加することは、会社がオンライン上の住所を指定することを意味するだけであるというUSPTO(米国特許商標庁)の主張を検討したが、この主張は、画材を提供するオンライン小売業者のArt.comやオンライン上の出会い系サイトのDating.comなど、(ランハム法以降の)以前の登録と矛盾すると指摘した。もしBooking.comの登録が認められないのであれば、以前の登録商標に対する取消申請を誘発することになる。

反対意見
ベイヤー判事は多数意見に反対し、標章がまだ一般的な価値(generic value)を有していること、業界における普通名称の使用を競合他社が妨げられること、商標が識別力の要件を満たしていないことなどを示し、「裁判所は、一般的な用語の組合せにより、用語個別だと欠如する識別性や出所を示すことができるかどうかを判断する必要がある」との見解を示した。言い換えれば、全体としての用語の意味が個々の部分以上のものでなければ、結合した用語自体も一般的であるということになる。
最後にベイヤー判事は、以前にグッドイヤーのIndia Rubber Glove 対 Rubber Coの裁判で提起され、普通名称にある名称(designation)を加えても「製品やサービスの一般名を魔法のように商標に変換する」ことにはならないとするUSPTOの主張に依拠した原則にも同意したが、このケースは、多数が一意的な識別子であるとしたドットコム(.com)の追加ではなく、普通名称に「会社(company)」という単語の追加に関連した問題であった。 

公正な判決
最高裁の判決は、Booking.comのマーケットにおける長年にわたる地位の確立を考えると、公正なものであるように思われる。過去に同様の商標が認められていることは言うまでもないが、もし出願人のブランドがマーケットでそれほど確立されておらず、消費者に知られていない場合、結果は異なるものになったであろうが、今回の判決は米国で興味深い前例となることは間違いない。

本文は こちら (Booking.com overcomes generic argument in US trademark battle)
判決文は こちら