2020-08-25

商標のヒント:文化の盗用や外国語の不適切な使用にご注意 - Novagraaf

今月、カナダの醸造所とニュージーランドのレザーショップがマオリ語をブランド名に使用したものの、意図したものと全く異なる意味があったことが露見した。 
2018年、コカ・コーラはニュージーランドで「Kia Ora, Mate」というスローガンを発表し同様のミスを犯した。「Kia Ora」はマオリ語で「こんにちは」という意味だが、「Mate」はマオリ語で「死」を意味し、英語の「friend:友人」と同様の意味の「Mate:仲間」とは異なる意味を持つものになってしまった。

Novagraafのシニア商標弁理士、Alastair Rawlenceによると、この種の見落としは、特にブランドが国内から国際へと移行する際には珍しいことではなく、多くの場合、音訳に問題があり、言い換えれば、ブランド名や製品名の意味を現地の言語や方言で確認していないことから発生する。有名な例として、シボレー・ノヴァ(Chevrolet Nova)がある(訳者注:シボレーがアメリカで販売していた小型車「NOVA」を海外で販売しようとして失敗した理由が「NO VA」という言葉がスペイン語で「it doesn’t work」を意味したためというもの)。このように不信感や不快感を与えないためにも、言語的なスクリーニングが非常に重要となる。Alastairは、「商標の先行調査だけでなく、クライアントにその名称がどこから得たのかを聞くことも重要で、その名称が外国語や他の文化から来たものであることが明らかになった場合は、その名称の意味を知っている人に必ず確認すべきだ」と注意を促している。

商標の「盗用」を避けるために 
文化の盗用(Cultural appropriation)は、他の文化に大きく依存するブランド名を選択する場合にも考慮されるべきである。例えば、マオリ語とその伝統は、チーズやレギンス、スポーツブラなど、あらゆるもののブランド名に使われてきた。ディズニーがスワヒリ語のフレーズ「ハクナ・マタタ(“心配ないさ”という意味)」を商標出願したことや、キム・カーダシアンが選んだシェイプウェアの「キモノ(KIMONO)」は、いずれも大きな反発を招いた。  

Alastairは、商品・サービスが特にその文化との関連性がない場合に、ブランド所有者は、外国の言葉や象徴をブランディングに採用することの倫理観を考慮するのが賢明だとの見解を示し、「そのような言葉は商標の登録要件を満たしていても、ブランド所有者が検討すべき大きな問題であり、また、今日『受け入れられている』と考えたことが、将来的に受け入れ難いものになるかもしれず、ワシントン・レッドスキンズ(NFL)のチーム名の問題が証明するように、結果として生じる世間の反発がブランドの評判に大きなダメージを与え、思いもしなかった理由でヘッドラインを占めることになるかもしれない」と指摘した。

本文は こちら (Trademark tips: Beware linguistic errors and cultural appropriation)