2020-09-23

中国:最高裁・最高検の知財侵害刑事事件の解釈=商標冒認出願罪の「同一商標」など - 北京路浩

2020年9月13日、中国最高裁判所と最高検察庁は、知財侵害刑事事件の法適用に関する法的解釈を共同公布した。同解釈は9月14日から施行される。
同解釈は計12条を規定している。主要内容として以下の三つの面を含む。

1.商業秘密侵害罪に対する法定刑の基準を統一する。
第4条:下記各号のいずれに該当する場合、刑法219条の「商業秘密の権利者に厳重な損失をかけた」と認定する:
1)権利者の損失額、又は侵害行為による違法所得額が30万元以上となる場合;
2)権利者の経営困難で破産・倒産した結果を直接的に招く場合;
3)権利者にその他厳重な損失をもたらした場合。
第5条:商業秘密の権利者が損失軽減のための救済に支払った費用は、権利者の損失額に算入すべきである。

2.商標冒認出願罪に関する「同一商標」、著作権侵害罪に関する「著作権者の許可を得ず」、商業秘密侵害罪に関する「不正な手段」などの認定についてより明確化にする。
第1条:下記各号のいずれに該当する場合、刑法213条の「登録商標と同一する商標」と認定する。
1)登録商標の文字、アルファベットの大小又は文字列を変えたにも拘らず、登録商標と基本的に区別がない場合;
2)登録商標の文字、アルファベット、数字などの間隔を変えたにも拘らず、登録商標と基本的に区別がない場合;
3)登録商標の色彩を変えたにも拘らず、登録商標の識別性の表現に影響しない場合;
4)立体登録商標の立体標識および平面要素と基本的に区別がない場合;
5)登録商標と基本的に区別がなく、公衆に誤認させるその他商標。
第2条:事件に係る作品又は録音製品の品目が多く、且つ権利者が散在している事件においては、事件に係る複製品が違法な出版・複製発行と証明され、且つ当該出版者又は発行者が権利者からの許可を得たと関連証拠資料を提供できない場合、刑法 217条の「著作権利者/録音製作者の許可を得ず」と認定するものとする。
第3条:違法複製、未授権又は授権範囲超過でコンピューターシステムなどの方法で商業秘密を盗み取る行為は、刑法219条1項1号の「窃盗」に該当する。
 賄賂、詐欺、サイバーなどの方式で権利者の商業秘密を獲得する場合、刑法219条1項の「その他不正な手段」に該当する。

3.知財侵害刑事事件に関する法定刑および懲罰適用について基準を統一し、具体的な適用状況を明確化にする。
第8、9条:厳重に懲罰する情状および懲罰を軽減できる情状を詳細に述べている。
第10条:知的財産権を侵害する犯罪行為に対し、違法所得、違法経営売上、権利者の損失額、侵害・模倣品のボリュームおよび社会的被害の深刻さなどの情状を総合的に考慮した上、法に依って罰金を定めるべきである。
リソース:最高裁判所 http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-254891.html

本文は こちら (路浩知財ニュースレター2020年9月号)