2020-12-01

英国:EU離脱(BREXIT)と商標、地理的表示、EEUとの並行取引 - UKIPO

2021年1月1日に、英国知的財産庁(UKIPO)は、EUで登録されたすべての商標(EUTM)に対して、同等の英国国内商標を付与する。これらは;
* 英国商標登録簿に記録される
* 英国の法律で出願登録した商標と同じ法的権利を有する
* 元のEUTMの出願日が維持される
* 元のEUTMの優先権とシニオリティの日付が維持される
* 独立した英国国内商標となり、元のEUTMとは別に異議申立て、譲渡、ライセンス及び更新の対象となる。
* 権利の移行は無料で行われる。
* 英国の登録証明書を受け取ることはできないが、GOV.UK(英国の公共Webサイト)でアクセスし、商標権の詳細に関してスクリーンショットを取得できる。

移行期間終了時点で登録されていないEUTMを所有する企業、組織、個人は、希望する場合、移行期間終了後9ヶ月間に英国で同様の保護を申請することができる。この場合、英国の通常の出願料が課され、英国の審査要件が適用される。
現在の電子出願と紙による出願様式は、移行するEUTM出願に対応する先の出願日主張のためのセクションを新たに追加修正する。

国際登録商標
EUを指定する国際登録商標は、離脱協定の条件に基づいて英国での保護が継続される。
2021年1月1日に、UKIPOは、移行期間終了時点で保護されているすべての国際登録商標(EU)に対して、同等の英国国内商標を付与する。
EUを指定する国際登録商標が出願係属中である場合、出願人は英国国内商標と同様の権利を登録出願するために移行期間終了後9ヶ月の期間が与えられる。この場合、英国の通常の出願料が課され、英国の審査要件が適用される。

なお、更新、オプトアウト手続及び番号付与及び更なる詳細情報については、以下のガイダンスを参照のこと;
EU trade mark protection and comparable UK trade marks from 1 January 2021

地理的表示
地理的表示(GI)は、地理的起源を有する商品に使用される知的財産権で、スコッチウイスキーやスティルトンチーズのように、その原産地に起因する品質や評価を有している。
環境・食料・農村地域省(Defra)は、英国の農業・食品地理的表示(GI)を主管しており、2021年1月1日に施行される新しい英国GIスキームを含むガイダンスを発表している。
UKIPOはDefraと協力して新しいスキームがより広範な知的財産権の枠組みと互換性があることを確認してきており、商標とGIの間の既存の関係を維持したいとしている。この分野に関するビジネスガイダンスは、近日中の公表を予定している。

英国とEEA間の並行取引
移行期間後に権利者によって、又は権利者の同意を得て英国市場に投入された商品の知的財産権は、EEA(欧州経済領域)で消尽したとはみなされない可能性がある。これは、知的財産権で保護された商品を英国からEEAに並行輸出する事業者が、権利者の同意を必要とする可能性があることを意味する。 
また、移行期間後に権利者によって、又は権利者の同意を得てEEA市場に出された商品の知的財産権は、英国では引き続き消尽したとみなされる。これは、EEAから英国への並行輸入が影響を受けないことを意味する。
UKIPOは、2021年初めに正式な協議を公表する予定で、関係者には公表日を通知する。
知的財産権者はどうすべきか
知的財産権(商標、特許、意匠、著作権)を所有している企業は、知的財産権で保護された自社商品が英国からEEAに並行輸出された場合には、法的アドバイスを求めた方がよいかもしれない。
2021年1月1日以降、知的財産権で保護された自社商品の英国からEEAへの並行輸出を許可するかどうかを検討する必要がある。

本文は こちら (Intellectual property after 1 January 2021)