2020-12-21

BREXIT:2021年1月1日以降の商標と地理的表示の関係に関するガイダンス - UKIPO

 地理的表示(GI)は、地理的起源を有する商品に使用される知的財産権で、スコッチウイスキーやスティルトンチーズのように、その原産地に起因する品質や評価を有している。環境・食料・農村地域省(Defra)が、英国の農業・食品地理的表示(GI)を主管しており、英国知的財産庁(UKIPO)は、GIと商標の関係においてDefraと緊密に連携している。

2021年1月1日以降の英国におけるGI保護
 2021年1月1日から、英国では農業食品、スピリッツ、ワイン、芳香ワイン用の新しいGI制度が導入される。
 北アイルランド議定書(Northern Ireland Protocol)の適用期間中、英国の GI 制度はイングランド、ウェールズ、スコットランド(GB)で英国の GI として登録された製品を保護し、EU の GI 制度は北アイルランド(NI)と EU で EU の GI として登録された製品を保護する。NIでは、Defraが引き続きこの制度の管理と実施に責任を負うことになる。 
 Defraが発表した英国の GI 制度と英国内での GI の保護に関するガイダンスは、2021年1月1日以降、英国の商標制度と英国におけるGIの保護がどのように関係するかを説明しており、移行期間から9ヶ月以内に出願された商標とGIの優先順位については、商標ビジネスガイダンスに別途記載されている。

商標とGIの関係
 現在、UKIPO(英国知的財産庁)は、商標審査手続きの一環として、EUで登録されたGIを検索し、保護されたGIの権利に抵触する場合には、商標の登録を拒絶する。
 移行期間が終了すると、UKIPOの商標審査では、以下の商標が検索される;
* GBで保護されている英国の新制度に基づいて登録されたGI
* NIで保護されているEUの制度で登録されたGI
商標とGIの関係自体は、商標が使用や想起によってGIの権利に抵触する場合に拒絶され得る条件を含め、変更されていない。

既存のGIの権利に抵触する場合の商標出願審査
 2021年1月1日からは、NI及びGBを含む英国内のどこかで登録しているGIの権利に抵触する場合、商標登録が拒絶される。
しかし、出願人がGIの登録している地理的な場所で事業を行う意思がない場合には、拒絶を回避できる。そのためには、出願人は、自発的に商標によって付与される権利の領域範囲を制限することができ、例えば、GBやNIを商標の適用範囲から除外することもできる。
 これは、1994年商標法第13条(1)(b)の規定を適用しており、出願人が除外された地理的領域で商標権を行使したり、商標を付した製品を販売したりすることはできないが、英国のその他の地域では商標登録による恩恵を受けることができることを意味する。すべての出願人は、商標審査官からこのオプションの案内を受けることになる。
移行期間終了後には、新しい実務を反映させた詳細な情報が商標審査ガイドに掲載される。
 英国全土で効力を有する GI(EUの制度に基づいてNIで登録されたもの、あるいは英国の制度に基づいてGBで登録されたもの)と商標の権利が抵触する場合、地域限定によって拒絶を逃れることはできない。

拒絶を克服するための商標の権利制限
 合法的な GI 生産者が、保護された GI に適合するように商標の権利範囲を修正することができる場合には、従来の慣行が維持される。GI が有効な場合、商標の権利範囲が GI の明細書に準拠するように限定されていれば、商標登録の拒絶が克服される可能性がある。例えば、「ペストリー製品」に関して出願された商標「リーズ・コーニッシュ・パイ(Rees Cornish Pasties)」の権利範囲が「保護された地理的表示保護(PGI :Protected Geographical. Indication)コーニッシュ・パイの規定に準拠したパイ」に限定されていれば許容されると思われる。

本文は こちら (Trade marks and geographical indications after 1 January 2021)