2021-01-08

インドネシア:オリジナルバフ、「BUFF」vs「RUFF」商標取消訴訟に勝利 - Tilleke & Gibbins

 スペインを拠点とする大手アパレル企業、オリジナルバフ(Original Buff, S.A.)は、アウトドア、アクティブ、都会向け、普段着等の衣料品をデザイン・製造している。同社の主力製品は、多機能、シームレス、チューブ状のヘッドギア・アイテムで、1992年に製造が開始され、商標「BUFF」は1994年にスペインで登録された後、世界110カ国以上で25類(衣類等)を指定して登録されている。

 インドネシアでは2010年に「BUFF」商標の登録を取得していたが、2011年6月頃インドネシアの現地企業から類似する標章(類似する商品)の商標登録が申請された。これは、オリジナルバフの知名度の高いBUFF製品の高い評判を不当に利用しようとしているように見えた。この標章は「RUFF」で2014年に公告された際にオリジナルバフは異議申立を行った。しかし、2015年に知的所有権総局(Directorate General of Intellectual Property:DGIP)はこの異議申立を認めず、「RUFF」商標の登録を最終的に承認した。

法廷にて
 2019年、オリジナルバフは、「RUFF」商標が「BUFF」商標と非常に類似しており、商標を付した商品も類似していることから悪意があるとして、「RUFF」商標の無効を求める取消訴訟をインドネシア商事裁判所に提起した。 

 この事件は複数回の審理を経たのち、2020年1月中央ジャカルタのインドネシア商事裁判所は、「RUFF」商標に対する取消訴訟に関して、オリジナルバフに有利な判決を下した。裁判所は、25類の「RUFF」商標は、オリジナルバフが所有する著名な「BUFF」商標と実質的な類似性を有することから、インドネシアの商標登録原簿で無効にされなければならないと判断した。また、裁判所は、被告が悪意を持って「RUFF」商標を登録したと判断し、被告に名目ばかり(nominal amount)の裁判費用の支払いを命じた。  

 裁判所は、判決文で「RUFF」商標と「BUFF」商標はインドネシア語の発音が似ており、文字の違いは一文字目の「B」と「R」の部分だけであると結論づけ、これにより「BUFF」商標の消費者や使用者が「RUFF」商標に欺かされたり、誤解したりする虞が生じることになる。また、裁判所は、証拠として提出された継続的な使用証拠や宣伝資料に基づいて、「BUFF」商標は周知標章に分類できるとの判断を示し、さらに「RUFF」商標は、「BUFF」商標の高い評判にただ乗りするつもりで出願されたものであり、すなわち、悪意で出願されたものであるとの判断を示した。

 また、取消訴訟の提出期限が過ぎていること、原告の形式要件(委任状、定款)に問題があること、DGIPが共同被告ではないため、取消訴訟には当事者性がないことなどの被告の主張は退けられた。裁判所は、取消訴訟が取消訴訟手続の時期・形式要件を満たしており、DGIPが共同被告でないからといって、取消訴訟に当事者がいないわけではないと判断した。
被告は、最高裁に控訴しており、控訴審の判決はまだ出ていないが、一審での好意的な判決は、10年近く「RUFF」商標と戦ってきたオリジナルバフにとって明るい兆しといえるだろう。

結論
 インドネシアで登録商標に対抗するための選択肢は著しく限られている。基本的には、当事者は問題の登録商標の所有者との個別交渉を求めるか、取消訴訟を起こして法廷に訴えるかのいずれかである。今回紹介したケースは、オリジナルバフが問題の標章が登録される前から、その標章に異議を唱えて行動していた。そして、異議申立が認められず標章が登録された後、取消訴訟を起こすには費用も時間もかかるが、最終的に裁判所に救済を求めることにした。さらに、インドネシアでは侵害訴訟でしか賠償請求ができないため、取消訴訟において損害賠償請求はできないが、オリジナルバフは、インドネシアでの事業の長期持続のために知的財産の管理が不可欠であると判断した。控訴はまだ法廷を通過している途中ではあるが、第一審での初勝利は心強く、オリジナルバフのインドネシアにおける知的財産権に対する長年の脅威をなくすための基盤を築くことができたように思われる。

本文は こちら (Successful Trademark Litigation in Indonesia for Original Buff, S.A.)