2021-02-17

インド:先行する商標が不使用を理由に敗訴 - R. K. Dewan & Co.

1927年にスイスで設立されたCremo S.A.は、「Cremo」というブランド名で、乳製品の製造、販売を行っているが、2019年11月にインドで「Cremo」という図形標章の登録を申請した(IRDI No.-4392669)。この出願に対して、先行する類似標章が既に商標出願されていることを理由に異議が申し立てられた。調査の結果、Cremo S. A.は、インドのファリダバードに拠点を置くCremo Netureal Milk LLP(以下、Cremo Netureal)が2019年7月に類似する商品を指定して商標出願を行っていることが判明した。

Cremo S. A.は、Cremo Neturealに対して、Cremo Neturealが販売する商品に「Cremo」という標章を会社名の一部に使用したり、商標として使用したりすることを制限するための暫定的な差止めを求めるパッシングオフを理由とした訴訟をファリダバードにある商事裁判所の判事に提訴した。商事裁判所は、疎明に足りるとしてCremoに有利な判断を示し、暫定的な差止を命じた。Cremo Neturealはこの命令を不服として、パンジャブ・ハリヤナ高等裁判所に控訴した。

Cremo Neturealは、Cremo S. A.がインド国内で製造や事業を行ったことはなく、商業的に存在していないのだから、Cremo Neturealが採用した標章の使用によってCremo S. A.に何らの商業的不都合をもたらすものではないと主張したのに対して、Cremo S. A.は、2016年以降インドへの製品輸出に付随する請求書を示し、1927年に会社を設立して以来、世界的な評判と信用を得てきたが、これに対してCremo Neturealは2019年に設立されたばかりだと主張した。

興味深いことに、高等裁判所は、Cremo Nuteralが自社の文書による声明で、COVID 19パンデミックにより製造活動ができないと述べていたことを発見した。このことは、裁判所によれば、Cremo Nuteralが日付の時点で商業活動を開始していないと推測するのに十分なものであった。

高等裁判所は、「両当事者は乳製品を指定した商標登録を申請しており、明らかにCremo Nuteralの出願はCremo S.A.のものよりも先行するものである」と認めたものの、Cremo S.A.が2016年からインドの輸入業者や顧客に自社製品を供給/輸出しており、この時点でCremo Neturealは自社製品の製造や市場への導入を開始していないと指摘し、このことから、高等裁判所はCremo S.A.有利と判断した第一審の判決に支障はないとして、商事裁判所の判決を支持した。

本文は こちら (Trademarks- Use before you fight for them!)