2021-02-05

2020年の中国知的財産権出願状況と司法保護について - Linda Liu Group

中国国家知識産権局(以下「CNIPA」という)が1月22日に北京で発表した2020年の関連データによると、

商標に関して
2020年、中国の商標登録件数は576.1万件で、国内出願人によるマドプロ出願は7553件であった。2020年、商標異議申立案件を14.9万件審理完了し、前年同期比64.7%増であった。各種類の商標審判案件を35.8万件審理完了し、同期比7.8%増であった。

地理的表示に関して
2020年、受理された地理的表示製品の保護申請は10件で、承認された地理的表示製品は6件であった。地理的表示製品の専用マークの使用を許可された企業は1052社で、承認された地理的表示の商標登録件数は765件であった。

特許に関して
2020年、中国の発明特許登録件数は53.0万件であり、2020年年末までに、中国国内(香港・マカオ・台湾を除く)の有効発明特許件数は221.3万件に達している。2020年、CNIPA が受理したPCT国際出願件数は7.2万件であり、そのうち、国内出願人よる出願件数は6.7万件であった。
2020年、中国実用新案の登録件数は237.7万件であり、意匠の登録件数は73.2万件であった。特許の不服審判結審件数は前年同期比28.9%増の4.8万件で、無効審判の結審件数は前年同期比34.1%増の0.7万件であった。

知的財産権の保護と運用に関して
2020年、全国知的財産権システムは特許侵害紛争行政裁決案件を4.2万件以上処理した。
2020年、高価値特許と発明特許の平均審査期間はそれぞれ14ヶ月、20ヶ月に短縮され、商標登録出願の平均審査期間は4ヶ月に短縮された。
2020年、中国の特許、商標の質権設定プロジェクトは12,039件に達し、前年同期比43.8%増加した。総額は2,180億元に達し、同43.9%増加した。

知的財産権の保護強化状況
司法保護について、2019年に中国最高裁判所は知的財産法廷を設立し、全国範囲内の技術類知的財産権上訴案件を統一的に審理し、2年間の実践を経て、このような裁判モデルの革新は全国関連裁判所の知的財産権審理レベルの向上に大きな役割を果たし、社会の関心に徐々に応えてきた。また、全国知的財産裁判所の建設も着実に進められ、地域を跨ぐ管轄裁判体系が引き続き最適化されている。
2020年の統計データはまだ公表されていないが、北京市裁判所のデータから見れば、北京市の高等、中等、基礎の三級の裁判所は合わせて各種類の知的財産権民事、行政事件を66,710件受理し、そのうち、知的財産権民事事件は42,330件で、行政案件は24,380件であった。各種類の知的財産権事件を66,973件審理終了し、そのうち、民事事件は42,983件で、行政事件は23,990件であった。
北京市裁判所の知的財産権侵害事件の判決の平均賠償額は、これまでの5年間に比べて明らかに上昇し、そのうち、商標事件の平均賠償額は2015年の118,526元から2020年の417,823元に、特許事件は428,056元から619,078元に引きあがってきた。著作権事件は25,443元から39,645元に、不正競争事件は434,624元から846,845元に増加した。例えば、北京市高等裁判所は、炎黄盈動公司が亜馬遜通公司などを訴えていた商標権侵害事件に
おいて、懲罰的賠償を適用できると判断し、7,646万元の経済損失の賠償を命じる判決を言い渡した。

2020年11月30日、習近平国家主席は、中央政治局の初めての知的財産権をテーマにした学習会で、「知的財産権の保護は国家ガバナンスシステムと国政運営能力の現代化や質の高い発展、国民の幸せな生活に関わり、対外開放と国家安全にもつながっている」と強調したうえ、「国家戦略の見地から、新しい発展段階の実情を踏まえて、知的財産権保護の取り組みを全面的に強化し、現代的な経済システムの構築を促進し、社会全体におけるイノベーションの活力を引き出し、新たな発展構造の構築を推進していくように」と呼び掛けていた。知的財産権の保護強化は、すでに国家ガバナンスシステムの上位レベルに上がり、中国の革新的な発展においてますます重要な役割を果たすことが予想される。
総じていえば、中国の知的財産権事業は中国の経済と同じように、歴史的な変革の時期に直面しており、中国の知的財産権は量から質へ、出願から活用へと転換点を迎えていくであろう。
(LINDAからのIPニュース第137号より)