2021-04-14

使用するか権利を失うか:商標を使うことの重要性 - Novagraaf

 英国やEUなどの多くの国や地域では、ブランドオーナーは採用した商標の使用証拠を提出することなく商標出願することができる。とはいっても、使用の証拠を提出することが重要でないというわけではない、とDan Hallidayは解説する。
 ほとんどの国の商標法では、権利者は自分の商標の使用証拠を提出することなく、商標登録を申請することができる。これには英国も欧州連合も当てはまり、これらの国や地域で商標出願や登録の初期段階で使用証拠を提出する必要はない。商標権者は、主に商標の詳細、商標が使用される商品・サービスの包括的なリスト、正確な所有権の詳細を提出する必要はあるが、自社ブランドの商標出願は比較的簡単に可能だ。

考慮すべき例外
 ただし例外もあり、米国のように使用証拠や使用宣言を求められる国もある。米国では、商標登録出願の際に、以下の3つの根拠のいずれかを示さなければならない。

* 使用に基づく根拠:商標の使用を証明するには、使用宣言書と複数の商品・サービスに使用された証拠を示す裏付けとなる見本を提出する必要がある。
* 使用意思に基づく根拠:商標を使用する意思があることを示すことで、出願時に使用証拠を提出する必要はないが、その後、出願が登録に進む前に、商品・サービスについて使用証拠を提出する必要がある。
* 国外の登録に基づく根拠:他法域の商標登録に基づいて、同一の米国出願を行うことができる。登録手続きの際に証拠書類を提出する必要はないが、登録から5年以内または第三者による出願や競合する商標の第三者による使用に対して措置を講じたい場合は、いずれか早い方で証拠書類を提出する必要がある。

 米国の要件は厳しく、使用証拠は権利者が商標保護によって与えられる独占権に対して有効な権利を主張するために必要で、米国においては、商標を使用していることが確認できなければ、同一または類似する商標に対する権利を主張することができず、第三者が同一または類似の商標を関連する商品・サービスに使用することを阻止することができない。

使用を証明することが有効な商標権の鍵となる
 この論拠は、すべての国・地域の商標法の中心的な要素であり、ほとんどの国や地域では、商標登録から3年後または5年後以降に登場する。
 英国やEUでは、商標登録から5年が経過すると、その権利は使用証明の評価対象となる。言い換えれば、商標登録から5年後以降、異議申立ての根拠として使用する場合には、一般的に、登録された管轄区域での商標の使用を証明する必要がある。また、第三者は不使用を理由に商標登録の取消しを求めることができるが、このような状況が発生した場合、商標登録の有効性を保つために、保護対象の商品・サービスに対する商標の使用を証明する証拠を提出しなければならない。

 取消手続きにおいて有効な使用証拠を提出しなかった場合、使用証拠が全く提供されない場合は商標登録が、一部の商品・サービスについてのみ証拠を示すことができる場合は部分的に商標権が取消される。
権利者が使用を証明できない商品・サービスは登録を取消され商標の権利範囲が制限される。
 異議申立手続きにおいて有効な使用証拠を提出できず、先行する商標権でカバーされている商品・サービスで使用されていることを示す証拠が不十分であった場合、異議申立は却下される可能性がある。これは、先行する商標が有効な権利を構成していないことを意味し、これらの権利によって異議申立を受けた出願の登録が進むことが制限されるべきではないからだ。 

 上記の2つの結果の意味するところは、権利が制限されるということであり、後者の場合には、第三者が同一または類似する商標を使用することを阻止するための措置を講じることができず、現在のビジネスに影響を及ぼす可能性もある。

使用証拠の準備
 一般的に、提出する証拠が必要な場合、権利者は比較的短期間で必要な証拠を集めなければならない。ほとんどの場合、期限が設定されており、知的財産庁が指定する短い期間内に必要な使用証拠をすべて入手するのが困難なこともある。
 また、必要とされる様々な種類の証拠を一元的に管理していない場合や、市場における商標の使用を証明するために必要な種類の証拠収集が初めての場合、状況はさらに大変かもしれない。
 商標の維持と権利の保護を確実にするために必要な有用かつ不可欠な証拠の種類と使用証拠をどのように準備すればよいか、以前の記事(こちら:使用証拠は日ごろの準備が大切)を参照してほしい。

リスクを最小限に抑えるために今すぐ行動を!
 商標権は半永久的に存続する独占権だが、登録されてそれで終わりではない。登録後の商標は、登録によって保護される商品・サービスに使用することが重要で、必要な時に商標を有効に使用しなければ、貴重な権利を失うことになりかねない。

本文は こちら (Use it or lose it: The importance of using your trademarks)