2021-08-05

タイ:オンライン模倣品問題に対処するパナソニックの持続的な解決策 - Tilleke & Gibbins

インターネットの急速な普及とオンライン販売の拡大に伴い、ブランドオーナーにとって効果的な知的財産権の行使はますます難しくなっている。技術力のある侵害者は、Eコマースサイト上で簡単に模倣品を販売することができ、不正を指摘されても、単にサイト上の商品を置き換えたり、販売業者の名前を変えたりして責任から逃げてしまうことも多い。

このような環境の中で、ブランドオーナーは、侵害サイトの削除を要求するだけでは不十分で、むしろ、オンライン侵害に効果的に取り組み模倣品の拡散を阻止するために、真の出所を明らかにし、侵害者を逮捕し、再掲載されるのを防ぐために商品を差し押さえる必要があると気づいている。

パナソニックの成功
日本の電機メーカー、パナソニックは、タイで偽物の電池がEコマースサイトで販売されていることを発見し、まず模倣品を掲載しているサイトに削除要請を出した。しかし、問題は依然として残っており、いくつかの販売業者はパナソニックの模倣品の広告を別のサイトに移していた。

そこでTilleke & Gibbinsは、パナソニックがこの問題を根本的に解決するために、オンライン販売者の真の姿を明らかにすることを支援した。その結果、同じ販売者がパナソニックの模倣品を継続的に出品していることを確認し、調査の結果、5人の販売者が同じ配送先住所を使用していることも判明した。
調査チームは、この住所がパナソニックの模倣品販売とは無関係であることを確認し、さらなる調査で模倣品が保管された隠れ倉庫を発見した。

さらに、調査結果をタイ王国国家警察庁の経済犯罪制圧部(The Economic Crime Suppression Division: ECD)と共有し、ネット上の侵害者の身元と住所を知らせ、2021年5月18日に警察と連携して強制捜査を行った。警察は、82,464個のパナソニックの模倣品を押収し、侵害者である中国人を逮捕した。この中国人は、オンラインで販売するために、中国の深圳からパナソニック製を模倣した電池を持ち込んだと自白した。侵害者は、タイで登録された商標を模倣した商品を所持した罪で起訴され、4年以下の懲役、40万バーツ以下の罰金、またはその両方が科されることになる。今回の被害額は、押収品の価値から計算すると270万バーツ(86,800米ドル)以上となり、パナソニックブランドの模倣品の押収としては、アジア太平洋地域でも最大規模となった。 

デジタル時代の知的財産権行使
今回の事例が示すように、デジタル時代における効果的な知的財産権の行使には、ブランドオーナーがより強固な行動をとることが必要だ。模倣品出品サイトの削除申請は初期段階では有効な手段であり、時にはそれだけで成功することもあるが、多くの商標権者は削除申請だけではオンライン侵害に対処するには不十分であると感じており、むしろ、模倣品の出所を明らかにする徹底した調査の方がより効果的なアプローチであり、最終的には侵害者の逮捕につながり、侵害品の販売や流通を完全に防ぐことができるのだ。

本文は こちら (Panasonic Finds a Lasting Solution to Online Counterfeiting Problems)