2021-09-06

韓国:審判の長期化防止および進行迅速化のための審判制度変更 - Kim & Chang

韓国ではこのほど審判手続きの遅延を防ぐことを目的とする関連規定の改正が行われた。現在の審判手続きにおいては、新たな主張や証拠は審理終結前までであれば時期の制限なく提出することが可能であるが、2021年11月18日からは審判の進行状況に応じて適切な時期に主張・証拠を提出しなければならない、「適時提出主義」に制度運営が変更される(新設商標法145条の2、デザイン保護法146条の2)。したがって、今後審判長は新たな主張・証拠の提出時期を定め、当事者が故意または重過失によって適時に提出しなかった主張や証拠などは審理に反映されないという不利益が課されることもあり得る。
 
また、このような変化と足並みをそろえ、特許審判院ではこれまで最大3~4回(1回あたり1ヶ月)まで認めていた審判被請求人の答弁書提出期限の延長申請を2回までに限って認めることとし、やむを得ず追加延長が必要な場合は審判官の事前承認を受けるように審判運用方式を変更して施行中である。
 
したがって、今後は審判が請求された場合、IP担当者は初期段階から韓国代理人との緊密な連携のもとに事案を把握して対応することが求められ、特に商標不使用取消審判の場合は韓国国内で証拠を確保しなければならない事情上、初期対応に多くの時間を要する点から、より一層迅速な対応体制を整えておくことが望ましい。
 
特に韓国国内で代理人が選任されておらず、日本国内の権利者が直接審判請求書の送達を受けた場合には、特許審判院の書類発送日が送達日とみなされるだけでなく(商標法220条、デザイン保護法第211条)、もし返送されたとしても再発送は行っていないため、IP担当者が答弁書提出期限を逃したり、または期限の直前まで審判請求内容を把握できなかったことにより何度も答弁書提出期限を延長せざるを得ないケースも往々にしてあるという点で、今回の審判手続き運用の変化にはより一層留意する必要があるといえる。