11月25日、ディエゴ・マラドーナが60歳で亡くなり、サッカー界は喪に服している。史上最高のサッカー選手の一人であるマラドーナが2019年にドルチェ&ガッバーナと争ったことは、知財関係者の間でも知られている。Léa de Ladoucetteが解説する。
ディエゴ・マラドーナの名前は「サッカー界の至宝」と同義語であり、本人の同意なしに名前を使用することはできない。2019年に起きた高級ファッションブランド「ドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)」と「マラドーナ(Maradona)」の間で起きた紛争で、Paola Gandolfi判事が下した判決で、サッカー界のレジェンドであるマラドーナの名前とイメージの権利が再確認された。
レジェンドの物語
1960年にアルゼンチンのスラム街に生まれたマラドーナは、足元にボールを置いて育ったという。24歳でSSCナポリ(イタリア・ナポリを本拠地とするサッカークラブチーム)に入団し、世界で最も有名な選手の一人となった。
情熱的で、カリスマ性があり、政治や宗教にも熱心で、マラドーナはその才能と魅力で独自の神話を築いていった。多くの人から史上最高の選手の一人と称されているが、1986年のワールドカップでイングランドの夢に終止符を打った「神の手」の準々決勝ゴールは、このアルゼンチンの「天才」と呼ばれる選手の永遠の思い出となっている。
また、マラドーナは、「Diego Maradona」、「Diego Armando Maradona」や彼のニックネーム「Diegito」を権利化し、食品やファッション業界で、プーマと提携してスポーツシューズの限定版を発売するなど、商業的にも成功を収めていた。
裁判に巻き込まれたレジェンド
2016年に行われたドルチェ&ガッバーナのファッションショーで、マラドーナの許可なく、モデルが「MARADONA」の名前と彼の背番号「10」をあしらった特徴的なブルーのジャージを着てランウェイを歩いた。
ドルチェ&ガッバーナによると、これは単に彼がナポリで過ごした時代へのオマージュだというが、マラドーナの弁護人は、マラドーナのような有名人の名前やイメージを使用し、そこから利益を得ることができる唯一の人は、その人自身であると主張した。
2019年12月10日の判決で、Paola Gandolfi判事はマラドーナを支持し、マラドーナという名前はサッカー界の至宝に関連付けられており、それが商業目的で使用される場合には、利害関係者の事前の同意なしにそのような名前を第三者が使用することはできないと判断した。そして、ドルチェ&ガッバーナがマラドーナの名前を使用した製品を販売していなかったことを考慮して7万ユーロ(約840万円)の損害賠償を支払うよう命じた。
その他のサッカーブランド
デビッド・ベッカムやクリスティアーノ・ロナウドなどの選手は、マーチャンダイジングでのイメージ使用を厳密に管理しており、クラブと選手個人の両方の観点からサッカーにおけるブランド価値の重要性を指摘している。
サッカーにおける肖像権の問題では、ACミランのズラタン・イブラヒモビッチがFIFA 21(EAスポーツが開発しエレクトロニック・アーツより発売されたサッカーゲーム)で自分の肖像が許可なく使用されていることに不満を示した後、話題になった。イブラヒモビッチは11月に「私はFifpro(国際プロサッカー選手会)のメンバーではない。誰かが私の同意なしに私の名前と顔で利益を得ようとしている」とツイートした。
この苦情の結末はまだわからないが、マラドーナの決定が、象徴的なスポーツ選手が自分の名前、イメージ、その遺産に関する権利を持つことの重要性を肯定していることは間違いない。
本文は こちら (Maradona: A giant on the pitch, but also in the courts)