2020-07-28

ミャンマー:商標法の旅は続く - Tilleke & Gibbins

ミャンマーが2019年1月30日に商標法2019を制定して約1年半を経過したが、未だに施行日は確定していない。

政府の指令
2019年に同法が成立して以来、ミャンマーの新しい知的財産法を管轄する商務省は、商標法について関係者の理解を深めるため、全国各地でワークショップや説明会を開催してきた。新法は、権利登録官室(Office of Registration of Deeds: ORD)における商標所有の宣言を登記する方法に代わる包括的な商標登録・保護制度を確立することで、ミャンマーの商標の枠組みを全面的に刷新することが期待されている。
政府は、これまで2つの商標規則を起草し、新しいオンライン出願システムの実施準備も整ったとされている。

COVID-19の潜在的な影響
COVID-19パンデミックの影響を受けて、現在、官公庁の職員は50%で運営されており、上述の商標規則案を承認する国会は閉会中だ。
それにもかかわらず、政府は商標法に基づく知財中央委員会(IP Central Committee)を2020年3月6日に正式に設置し、関連する通知を2020年5月8日に官報に掲載した。 

実施に向けた準備
商標法2019でORDに登記されている既存の商標が保護を受けるためには、ORDに登記されている商標を再出願・再登録する必要があるため、ブランド所有者は新制度の下で商標を再出願する準備を開始することが推奨される。
ミャンマーで商標保護を希望する商標所有者は、今すぐ以下のことを行う必要がある。
* 商標ポートフォリオを見直し、新制度の下で再登録すべき商標を決定する。
* 新知財庁が業務を開始した際に、既存の登録者のために確保された特別な「ソフトオープニング」期間を利用するために、ミャンマーで未登録の重要な商標を早急にORDに登記する。
* 再出願プロセスのために、ORDに登記されている既存の所有権宣言書(declaration of ownership)のコピーと地元の新聞に以前掲載された警告的な通知(cautionary notices)を用意しておく。
* 新しい知的財産権庁のソフトオープニング期間に備えて、広告、請求書、カタログ、事務用文房具などミャンマーにおける商標の使用を裏付ける明確な日付の入った証拠を用意しておく。
* ミャンマーにおける現在の商標ライセンス契約を確認しておく。
* 新法の施行前に権利行使の必要性が生じた場合に備えて、ORDにおける既存の商標登録を維持し、地元の新聞に継続的に通知を掲載する。

ORDは現在も所有権宣言書による商標出願や更新を受け付けており、多くのブランド所有者が主要新聞に商標の警告的な通知を掲載し続けている。またORDは、当面初となる公的検索(public search)を展開することを計画している。地元の法執行機関も、商標関連の問題に対処するための支援を継続している。
結局、公式な発表があるまではミャンマーの現状は変わらないと思料される。

本文は こちら (Myanmar’s Trademark Law Journey Continues)