2016-07-30

中国:バランス欠いてる?(New Balance事件)-- by R.K.DEWAN

「郷に入っては郷に従え」は、知財保護の分野でも当てはまると見られる。       ニューバランス社(New Balance)は、1906年に米国で開業した老舗のスポーツシューズメーカーだが、中国市場では中国販売代理店が‘New Balance’ とその音訳の中国語“新百倫”(Xin Bau Lin)を販促に使用していた。一方、Zhou Lelun氏は、2004年に“新百倫”(Xin Bau Lin)を商標出願し、ニューバランス側が異議申立を行ったが認められず、2008年に登録となった。そして、2011年にZhou Lelun氏の商標権をニューバランス側が侵害したとして損害賠償を請求して提訴した。2015年、広州中級人民法院は、ニューバランス側に対して9800万人民元(約15億2900万円)の請求を認める判決を下したが、その後、ニューバランス側の控訴により、広州高級人民法院で賠償金が500万人民元(約7800万円)に減じられた。裁判所は、Zhou Lelun氏の“新百倫”(Xin Bau Lin)商標権は知られているもので、ニューバランス側は数々のアウトレットやオンライショップで広く当該標章を使用しており、悪意が見られる、と判じた。               この判決から学ぶべきことは、中国に商標登録する場合、早めの商標出願と音訳の中国語も同時に出願すべきである、ということであろうか。

(補足)ニューバランスは2003年から‘New Balance’ 標章を使用し、2004年に商標出願し、2008年に登録しているが、音訳の中国語については商標出願していなかった。

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