2016年6月23日の英国における国民投票の結果、英国のEU離脱が決定いたしました。未だ離脱通知は行われておらず、今後の離脱手続きにおける具体的な見通しも不透明ですが、EUTM(欧州連合商標)へ影響を与えることは避けられません。EUTMを保有している権利者は、今後の影響を注視し、必要に応じて適宜対応することが求められます。弊社が今年4月に開催したEU商標法改正セミナーにて、この問題について取り上げましたが、離脱が決定した後、EU各国の商標代理人によって指摘されている今後の課題について、まとめた内容をご連絡させていただきます。
1.英国はEUTM(欧州連合商標)の保護範囲外に EUTMの保護範囲は、EU加盟国内であると規定されております。よって、英国がEUを実際に離脱する日以降、当該権利は英国に効力を持たないものとなりますが、現EUTM権利者については何らかの移行措置が設けられると予想されております。新規国家が樹立された際に、商標制度で採用されたように、EUTMをその優先日を維持したまま、英国の国内登録へと移行する手続きが認められる可能性があります。ただし、本来EUTMの各国国内移行手続きは、EU加盟国内で行うためのものですので、今後英国とEUIPO及び加盟国間で話し合いが行われるものと思われます。
2.英国の事務所はEUIPOにおける代理人資格を喪失 現在、EUTMの手続きを英国の事務所を通して行っている場合は、代理人変更の必要性がでてくる可能性があります。2016年3月23日に施行されたEU商標改正法では、欧州自由連合(EFTA)の加盟国であるアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー(いずれもEU非加盟国)がEUIPOの代理人としての資格が与えられました。英国も離脱交渉の際に、EUの統一市場に残ることを希望するとみられておりますが、交渉の結果次第では代理権を失うため、その前に案件の移管先を選定することが重要です。
3.英国における商標の使用が、EUTM商標の使用実績として認められない 現在保有のEUTMを英国のみで使用し、今後他のEU加盟国で使用予定が無い場合、将来的に不使用取消のリスクが生じるおそれが高いと思われます。
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