2016-08-26

コンセント(同意書)制度は救世主か? -- by Tilleke and Gibbins

タイの商標登録規則の1つに後願の商標は先登録された商標に同一又は類似であってはならない、というものがある。但し、これは絶対的な条件ではなく、共存しても公衆の混同を招かない場合や先登録した権利者が書面によるコンセントを与えた場合は共存することがある。

タイ商標法第27条では、善意に併存して各所有者によって使用されているとみなすとき又は商標審査官が登録を認めるのが適当であるとみなす特別の事情があるときは、商標審査官は先登録された商標と類似するとしても後願商標の登録を認めることができる、としている。もし、商標審査官が後願商標の登録を認めない場合は、商標法第27条を理由に商標委員会に審判請求することができる。

2016年の商標法改正(同年7月28日施行)では、連合商標制度が廃止された。これまでは類似関係にある商標登録は同じ権利者にのみ許されていた。その結果、分離移転や譲渡はできなかった。今回の改正により類似関係にある連合商標を別々に移転、譲渡できるようになった。例えば、A社がONEA、ONEB、ONECの3商標を所有していたが、B社にONEC商標を譲渡したとする。その後B社がONED商標を出願したとき、ONED商標はA社の先登録商標によって拒絶されることになる。

この問題を解決するために商標法第51条1項が制定された。この条項により、譲渡人、譲受人、相続人によって出願された同一又は類似する商標に対して、出願人が当該商標登録に関する書面によるコンセントを獲得した場合、商標審査官は登録を認めることができる。 これは商標法第27条の「特別の事情」にあたるため、としている。

改正商標法は異なる所有者による類似商標の登録を認めている。これは商標の譲渡や相続以外でも「特別な事情」であれば、類似する商標の登録に対してコンセント・レター(同意書)が受け入れられるべきではないだろうか。しかしながら、商標審査官と商標委員会はこの51条1項の運用を厳格に行い、譲渡と相続の場合のみに適応するであろう。

制約はあっても、ブランド・オーナーは可能な場合コンセント・レターを取ることを薦める。なぜなら、このことが商標委員会に対するブランド・オーナーの善意の実証に役立ち、タイ市場に於ける商標の使用推進に役立つからだ。

本文は こちら (Letters of Consent: A Viable Tool to Overcome Similarity in Trademark Cases?)