ラオスでビジネスを展開する多国籍企業が増えている。ラオスのGDPは年率8%以上の伸びを示している(世界銀行調べ)状況を見れば多くの企業がこの成長市場に魅力を感じるのは容易に理解できる。しかし、いかなる新市場へ進出する際にも、いかに知的財産権を守り、行使するかを考えておく必要がある。以下はラオスに於ける知財侵害とエンフォースメント・プロセスの実態に関する情報を提供するものである。
市場調査: 2013年初め、Tilleke & Gibbinsは独自の市場調査を行うためラオスの首都、ビエンチャンに調査員を派遣した。衣類、アクセサリー、電化製品、携帯電話、食品を含む多くの模倣品で違法なエリアと化しているサンジャン(San Jiang)市場とタラートサオ(Talat Sao)市場を調査し、発見した情報でブランド・オーナーに警告を行った。
捜査: 数か月前、食品、栄養、健康の分野でのグローバル企業は、彼らのブランドとパッケージを装った模倣品がラオス南部のサワンナケート(Savannakhet)とチャンパーサック(Champasak)県で広く出回っていることを知った。この企業の委託を受けて、Tilleke & Gibbinsは写真、ビデオ、商品を取得するため模倣品を販売している店舗を訪れた。この捜査を通してラオス知財庁(DIP)の協力を得ることができた。
政府の協力: 2週間後、ラオス知財庁長官のMr. Sitha Phouyavong及びDIPスタッフとミーティングを行ったとき、商工省、財務省、科学技術省の役人、警察、検察、判事も同席し、模倣対策に関する手続きに関する議論を行った。
執行プロセス: 関係機関のレビューの後、DIPの模倣対策委員会が行動規範を決め、行動規範が決まると各県の行政機関が模倣対策委員会の決定に従ってアクションを実行する。通常は、行政職員が違法業者の店舗に出向き警告書を手渡すことになる。行政職員は査察を行い、店頭や倉庫にある模倣品を評価しその価値を見積る。模倣品の出どころや納入業者についても調査する。また、違法業者は行政職員が5~7日後に再来訪までに、すべての模倣品の撤去を求められる。もし撤去が出来ていない場合は、すべての模倣品は差押えられ、行政職員は知財権利者と刑事・民事的な手続きについて話合いを持つことになる。 ブランド・オーナーは県行政機関に対し、県内で類似する商品を取扱う業者への警告書送付を依頼でき、もし3~6か月たっても店舗から模倣品が撤去されていないことを発見した場合は、県行政機関に対し事前警告なしのRAID(立ち入り取締り)の実施を要求することもできる。
知財権利者にはラオスの模倣品対策に前向きになった方がいい。
本文は こちら (Case Study: IP Enforcement Process in Lao PDR