2016-08-22

知的財産移転手続きのご注意- by Novagraaf

複数の国、地域、機関に於いて知的財産権変更のベスト・プラクティスを実践するには、有能な弁護士より良く組織化された運営管理者が必要だ。まず最初に行うことは、必要書類の棚卸しだが、それぞれの国の弁護士や代理人の助けを借りて、それぞれの国の法的な面のみならずそれぞれの官庁で求められる方式、手続き、書類などの最新情報を確認する必要がある。これらは国ごとで大きく異なっていることもあり、計画段階で何時、何が必要かを知っておくべきだろう。                                                                                        必要書類:知的財産の所有者変更は、有形資産同様に現在の所有者(譲渡人)と、新しい所有者(譲受人)との間で書面による契約を結ぶ必要である。多くの国では、所有権変更を正式に完了させ登記簿に記録されるために、契約書そのものか認証されたコピーの提出が求められる。主たる買収契約書で十分な場合もあるが、この方法では不利益になることもある。例えば;

  • 機密保持:多くの国では所有者を登録するために提出した書面が公開される。最近では官庁のウェブサイトで閲覧することもできる。通常主たる買収契約書には業務上デリケートな情報も含まれていて両当事者にとって公開されたくないこともある。
  • 課税:国によっては、対価の支払いに税金が絡むことがある。主たる買収契約書の提出により、税務当局の関心を引き、税務調査の対象にされる可能性もある。あまり重大な事態にならないとしても、好ましくない遅れや事態の複雑化は避けたいものだ。
  • 当事者:対象となる知的財産権が子会社所有のものであるなど譲渡人と譲受人が直接関係しない場合もあり、様々な追加書類が必要になってくることがある。

また、多くの国では公証人による認証や官庁の認証を求められる。譲渡人側の署名者が譲渡人の会社に所属しており署名する権限を持っていることを証明する場合などだ。いったん認証されるとアポスティーユ(「認証不要条約」に基づく外務省の証明のこと。アポスティーユを取得すると日本にある大使館・領事館の領事認証があるものと同等のものとして、提出先国で使用することができる)や各国大使館・領事館認証など様々なルートでの法的書類を得ることができる。この作業には時間がかかることも多く時間的制約のある国では注意が必要だ。                                  隠れた落とし穴:以前に行われた知的財産権の移転や組織の再編などで生じる名義変更や住所変更が最新の状態で登記されていないことも多い。登記が最新でないと直近の変更をする前に以前の変更を行わなければならない。想定外の手続きにより、当初予算以上のコストや時間がかかってしまうことがある。                                                               規制分野:製薬企業のように規制の多い業界では、規制に抵触することのないよう注意が必要で、国によってはこれらのプロセスに時間がかかる場合がある。                              また、特許、意匠、商標といった知的財産のほか、種苗やドメイン名、ライセンスの移転には別の手続きが必要になる。

本文は こちら (IP transactions: Recording a change of ownership)