2016-08-10

米国:識別力に関するUSPTOの判断を覆した事例- by Novagraaf

商標登録に必要な「識別力」は主観的であり、国・地域によっても判断が異なるため、ある国で登録が認められても、他の国で認められるとは限らない。新しいブランドや製品名を選ぶ上での第一歩は、そのブランドと同一又は類似する商標が第三者によってすでに出願・登録されていないかを調査することと、これから出願しようとする標章が識別性(識別力があるほど登録しやすい)と記述的商標(商品・役務の説明になりすぎていると登録しにくい)の観点から登録要件を満たしているかを評価することである。             識別性の判断は、各国商標法に基づいた各国特許庁のルールによって異なるため簡単ではないが、各国特許庁の判断を覆した米国の2つの事例を以下に記載する。

1.Bjni                                 Bjniという名前を聞いたことがない人が多いと思うが、アルメニアにあるナチュラルスプリングウォーターのある村の名前である。ミネラルウォーターの業者によるBjni商標出願に対して、米国特許商標庁(USPTO)はBjniが地理的表示の条件を満たすとして、登録を拒絶した。これに対して、出願人はBjniが凡そ3,000人の村で、その地域以外では殆ど知られていない、と主張し審判請求し、米国特許商標局商標審判部 (TTAB)はその主張を認め登録とした。BJNI

 

 

 

2.Jiujiteiro スポーツウェア                        One Notion Inc.は、図形化した文字(下掲)をスポーツウェアの分野で商標出願した。それに対し、米国特許商標庁(USPTO)は、Jiujiteiroはポルトガル語で柔術に関する用語だとして登録を拒絶した。一般的には、文字を図形化すると識別力が増すため、商標登録を受け易いとされる。また、ロゴや絵柄を入れることでより識別力を増し、登録可能性を高めることができるが、今回の問題はスタイライズされたJiujiteiro をUSPTOの審査官が十分な識別性を認めるかであった。結論として、審査官はそれを認めなかった。審判でTTABは、手書きされたJiujiteiroに十分な識別力があることを認め、登録とした。しかしながら、このことはOne Notion Inc. が文字Jiujiteiroの権利を持つことを意味しない、という裁定であることは明らかである。JuiJitsuro

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