2016-08-03

豪州:著名は類似の範囲にどう影響する?(カンタス航空事件)-- by R.K.DEWAN

Flying High

カンタス航空がエドワーズ(Edwards)の商標に対して異議申立を行い、却下された事件。カンタス航空の商標は広告、小売、販促を含む35類で登録されており、一方、エドワーズの商標は衣料、靴、ヘッドギアを含む25類を指定している。Yates判事は、25類は35類といつも関連付けられると類推するのは誤りであり、商品・役務の類似性に関わらず、商標の類似性などの事実に基づき判断すべきである、としたうえでカンタス航空の商標は三角形とその中のカンガルーが要部であるのに対して、エドワーズのTシャツにはカンガルーの半分のみ表示されているため、カンタス航空のロゴに混同は生じるほど類似しないとし、さらにカンタス航空の商標は著名だが、三角形の要素のない標章にまで類似は及ばないとして、エドワーズの侵害を認めなかった。                                                                                なお、著名な商標であれば、第三者による欺瞞的な類似商標に対して、非類似の指定商品・役務であっても異議申立をすることができる。

(補足)カンタス航空は、オーストラリア商標法第60条(オーストラリアにおいて名声を得ている商標に類似する商標)の適用を求めたものの、判事はこの適応に対するハードルの高さを求めたといえる事件。

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