2016-10-24

ベトナム商標出願8つの注意- by AGELESS IP Attorneys and Consultants

ベトナムはニース協定加盟国ではないが、ニース協定の国際分類第10版の採用が進められている。故にニース国際分類のアルファベット順一覧表や国際分類表に記載されている商品・役務アイテムを利用することで審査が迅速に行われることになる。一般的注釈(GENERAL REMARKS:ある商品又はサービスを類別表、注釈及びアルファベット順一覧表によって分類することができない場合に適用する基準を示したもの)もまた同様である。以下はAGELESSが指摘するベトナムで商標出願する8つの注意を提起する。

1. 費用を見積もるために
ベトナム商標法で規定するオフィシャルフィーは区分数と区分に記載する商品・役務のアイテム数による。アイテム数が6つ以上になると追加費用が発生する。費用見積もりではニース分類の類見出し(クラスヘディング)や一般的な商品・役務名称は認められず、アイテムを特定した記載が求められる。

2.商標出願申請言語
ベトナムでは商標出願に必要な情報はすべてベトナム語で記載されなければならないと規制されている。しかしながらAGELESSの経験上、また最近の手続きでは、商品・役務の記載でベトナム語と英語の併記をベトナム国家知的財産権庁(National Office of Intellectual Property of Vietnam: NOIP)は歓迎しているようだ。特に審査官には商品・役務が不明確な場合など重宝される。また、併記した方が出願後の商品・役務記載の変更も簡単に認められるかもしれない。

3.商標出願における商品名・サービス名
ベトナムとその他の国とでは文化的、言語的等の違いがあるため、可能であれば本国とベトナムで別々の製品名を持つことを薦める。また、その商品の機能、使用目的、原料やイメージといった情報を追加で提供することが指定商品の正確な記載に役立つ。

4.ASEAN区分
ニース国際分類10版の採用に加えて、ベトナムと他のアセアン諸国にはASEAN域内13,800以上の商品・役務にアセアン区分(ASEAN TMclass)を付与している。ベトナムの商標出願でアセアン区分を使用すると審査が迅速に行われる。
アセアン区分(ASEAN TMclass)については ここ

5.保護の範囲
商標権侵害に対処する強力な手段を得ると同時にリスクを最小化するために商標出願人には以下のことを助言したい。
-商標出願時には、ベトナムで実際に生産し取引する商品・役務を正確かつ具体的に記 載すること
-保護範囲を広げるために、可能であれば使用する商品・役務の周辺の一般的アイテムを広く指定すること
例えば、”electric hand drills” に関する商標であれば、“electric hand drills” AND ”hand-held tools, other than hand-operated” in Class 07 の最低2商品は指定すべきである。

6.複合製品
ニース国際分類の一般的注釈では、「ラジオ内蔵の時計」のような複合製品の場合、指定商品の機能や使用目的によって区分が決まる。しかしながら最近のベトナムの実務では、このような商品は審査段階で審査官の主観に依ることが大きい。もし他の区分に移動するようにというオフィス・アクションが出た場合には、審査官を説得するのは難しく、多くの時間もかかってしまいがちだ。こういった場合、元の区分に固執するのではなく審査官の見解に従った方がよいであろう。

7.指定商品・役務記載の必要条件
現在のベトナムの法律では複数の指定商品・役務を併記する場合、セミコロン(;)でアイテムを分ける必要がある。それ故に語彙と文法はわかり易く明確に記載すべきである。例えば、“accessories for vehicles, such as, tires, brake, chassis” は “tires for vehicles; brakes for vehicles; automobile chassis” と記載すべきである。

8.その他の注意すべき商品・役務
-取引、卸売り、小売り、展示、設計等を含む役務であれば対象とするものをはっきりとすべきであろう。例えば “Trading of cosmetics; wholesale and retail store in the field of clothing, handbags, computers; installation of computer software; dress designing, etc”.
-機能性食品(Functional food)は29類や30類ではなく5類に属する
-製品を生産・製造する役務は役務ではなく、それぞれの商品の属する区分とすべきである。例えば、コンピュータの製造役務は指定商品「コンピュータ」で9類となる。
-“Plant protection product” では不十分であり、“plant protection product, namely, pesticides, preparations for destroying noxious plants” のように明確に記載すべきであろう。

本文は こちら (Eight notes on filing trademark application in Vietnam)