2016-10-06

‘SANTAK’ 商標と侵害対策- by AGELESS IP Attorneys and Consultants

近年、ベトナムに於いて商標をはじめとする知的財産権の侵害が増加している。ベトナム市場にビジネスを拡大しようとする企業にとって、法的なロビー活動や法の執行は重要なことである。ベトナムで ‘SANTAK’ 商標の権利がいかに守られたかを以下に紹介する。

santakups

出荷が保留となった ‘SANTAK’ 商標を表示した商品

 

 

‘SANTAK’ はEaton Phoenixtec(イートン・フェニックステック)社の著名商標で、1955年に無停電電源-UPSの分野でベトナムに商標登録している。‘SANTAK’ 商標の著名性ゆえに、ベトナムやその他アジアの国々で、模造、模倣、コピー商品を販売し不当な利益を上げる競合社が存在している。そのためイートン・フェニックステック社は日頃から商標権の侵害に対する対応に追われている。特に中国からの輸入品には注意を払っている。ベトナムでは商標権保護のためAGELESSを代理人に任命し、2015年初頭にベトナムの関税総局(Bureau-General Department of Custom )とハイフォン税関(Haiphong Custom Department )と共に調査を開始した。その結果、中国からベトナムの企業、ETSカンパニー社に輸出された ‘SANTAKUPS’ と表示された162のUPSを発見した。AGELESSは直ぐにこれら商品の輸入差し止め手続きを申請し、ハイフォン税関はETSカンパニー社の出荷物の税関保管を決定した。

裁定は以下の通りとなった。

  1. ‘SANTAKUPS’ は一連の文字であるが、消費者はこの文字は ‘SANTAK’ と ‘UPS’ のに文字で構成され、UPSは無停電電源(Uninterruptible Power Supplier)の略と考えるであろう。そのため ‘UPS’ には識別力はなく、‘SANTAK’ のみで判別する。‘SANTAK’ はベトナムで登録されている商標と同一である。
  2. 当該商標が文字と図形を包含しているとしても、文字部分だけで要部を示している。

最終的に当局はETSカンパニー社に対し、‘SANTAKUPS’ 表示の削除と高額の罰金を科した。また、ETSカンパニー社は、一か月以内の業務停止となった。

侵害品が見つかった場合、決して一社で対処することなく、法律事務所、地方税関、関税総局と一緒に解決にあたることが重要である。また侵害品を発見後は、できるだけ素早い対応も欠かせないし、年間予算も必要だろう。尤も商標権を持つことが重要なのは論を俟たない。これらのことは、ベトナムのみならず、カンボジア、ラオス、ミャンマーでも同様である。

本文は こちら (Protection and Enforcement of SANTAK trademark in Vietnam)