ロゴ・デザインに関する類似の争いは比較的稀有かもしれない。文字要素のない図形の類否はいつも興味深い。
今回のケースはフランスのエネルギー大手トタル(TOTAL)の著名なロゴ(下図左)との争いで、下図右のロゴは英国でその他金融サービスの分野で出願された。クレジットカードや金融カードサービスも手掛けているトタルは、この商標だけでなく当該ロゴの意匠登録に対しても異議を申立てた。これは意匠登録がロゴの保護に有効であるとしてよく使われているためだ。英国知的財産庁(UKIPO)の裁定はこれまでにもよく見られたように明確で一読に値する。特に両商標の類似に関する記述は興味深い。両商標は同じ色を有するリボンで構成されており、両商標には意味のある視覚的差異を排除できる微々たる違いしかない。しかしながら、注目すべきことは審判官が意匠と商標では判断が共通しないという見解を示したことだ。商標や意匠に触れる大衆には違いが存在する。商標にとっての大衆は一般消費者だが、意匠にとっては一般より専門家となる。専門家は商標と意匠をより注意深く見て、その違いに気が付く、という。
本文は こちら (Total similarity)