2016-12-20

商標の類似または混同を回避する- by Novagraaf

商標ウォッチング(商標出願・登録公報の監視)は登録した商標のモニタリング・ツールとして非常に重要である。それにより商標の侵害行為や誤った使用を効率的に見つけることができる。例えば潜在的に侵害の可能性のある商標出願に対して異議を申請することもできる。紛争が起きるとブランド・オーナー同士が争うことになる。そのとき審判官や裁判所はどのように侵害行為を認定するのだろうか。類似または混同は重要な法的基準を示す1つの見方であり、欧州の一般裁判所の最近の2つの事例を見れば明らかである。類似または混同とは、2者間で類似する商品や役務の出所が一般的に混同する可能性であり、両標章がどの程度似ているのか、商品または役務の類似によりどの程度混同が起きるのか、が問われる。

全体的なブランドの印象: 両標章の類似度を評価するとき、外観(標章のイメージ)、称呼(標章の発音)、観念(標章が意味するもの)に関する類似性が検討される。また商品または役務の類似性も検討される。例えば、商標の指定商品が「アルコール飲料」であれば、指定商品「輸送」の商標とは使用される業界が大きく異なっているので侵害は構成しにくいと考えられるが、これが「アルコール飲料」と「タバコ」の分野であれば、互いの業界が近づくので議論になるかもしれない。

文字商標: ‘Canyon’ 商標と ‘Clover Canyon’ 商標が争われた事件。両商標とも同じ商品(衣料品)を指定していた。欧州一般裁判所(EU General Court)は両商標の ‘Canyon’ が同一であると認定した上で、文字商標の場合、消費者は通常最初の文字を重要視するとはいえ、 ‘Clover’ を語頭に含むことで類似又は混同を回避できるものではないと判じた。

図形商標: これは飲料分野におけるモンスターエナジーとHotoGoの図形商標の混同の虞に関する事例である。両商標とも縦の湾曲する3本のラインで構成されている。このケースは両商標とも図形のみなので称呼は適応しない。欧州一般裁判所はモンスターエナジーのロゴが鋭利に尖っているのに対して HotoGoの商標はソフトで滑らかなので外観は類似しないと認定し、観念的にはモンスターエナジーの商標は文字 ‘M’ を意味するラインなのに対してHotoGoのラインは熱い飲料を意味しているので、両商標の類似又は混同は認められないと判じた。

紛争を回避する: 商標の先願調査は使用するブランド名が国内/業界内のビジネスに使用できるかを調査する簡単で有効なツールである。インターネット時代、毎日24時間いつでも必要な情報を無料で得ることができる。Googleのような検索ツールで既存のブランド名を確認することもできるが、商標登録状況も確認しなければならない。その場合は特許庁や商標庁のオフィシャルサイトや民間の商標データベースを使用すれば潜在するリスクを確認することができる。

本文は こちら (Likelihood of confusion: is your brand name too similar?)