韓国ではデザイン創作性の認定範囲を広げた改正デザイン審査基準が2017年1月1日から施行される。
特許庁の審査官はこれまで、六面体や円柱などのような誰もが知る形状からなるデザインについては創作性が不足することを理由に別途の証拠の呈示なくデザイン登録を拒絶することができた。このため、最小限の装飾で簡潔さを追求するいわゆる「ミニマリズムデザイン(Minimalism Design)」はその形態が単純で創作性がないという理由で拒絶されるケースが多く、出願人は意見書を通して同デザインの創作的価値を主張しなければならないという負担があった。
しかし改正審査基準によれば、たとえ基本的な形状などからなるデザインであっても、該当分野において過去にまったくなかった方法で表現されたものであれば創作性が認められることになった。また、審査官は出願されたデザインがそのデザインが属する分野においてありふれた創作手法や表現方法であることを理由に拒絶する場合、必ず証拠を呈示しなければならず、本物の自動車のデザインをおもちゃの自動車にそのまま使う場合のように、ありふれた創作手法や表現方法であることが明らかに認められるときにだけ証拠の呈示なしに登録を拒絶することができるように変更された。これにより、創作性欠如によって拒絶されるデザインの数が減るものと予想され、出願人としても創作性を理由に拒絶された場合に審査官が呈示した証拠に基づいて意見書を作成できる機会が増え、より効率的な対応が可能になるものとみられる。
このほかに、今回の改正デザイン審査基準には、①自己の先行公知デザインと類似の関連デザインの出願日が新規性例外主張期間(6カ月)を経過した場合は新規性違反で拒絶、②自動車部品については類似の幅を狭くみる、③ケーキにケーキフィルムが巻かれた場合のように、デザインの対象となる物品に付加的・補助的な物品が結合したものも1デザインと認定、④関連デザインと単独デザイン間の出願の変更を国際デザイン登録出願に対しても認定、⑤国際デザイン登録出願で複数デザインを出願する場合、ⅰ)削除補正による一部デザイン出願の取下げ不可、ⅱ)一部デザインにのみ全体的な形状が図示されている場合、図面を追加する補正が最初の出願書に含まれた図面から類推できる程度であれば要旨変更の例外と認定、ⅲ)出願書に記載されたデザインの数と添付された図面上のデザインの数を一致させるための出願書の補正の不可などの改正事項が含まれている。