2017-01-23

米国:スキャンダラスな名称は商標登録できるか?

連邦最高裁判所は今週にも懸案の問題に終止符を打つかもしれない。今回、裁判所に持ち込まれたのは、アジア系アメリカ人ロックバンドがUSPTO(米国特許商標庁)に商標出願した “The Slants(東洋人に対する侮蔑的呼称でバンド名でもある)”が登録を拒絶された案件で、スキャンダラスな名称の商標登録が認められるか問題となっている。

昨年、ワシントンD.C.に本拠地を置くNFLのフットボール・チームであるワシントン・レッドスキンズに対してネイティブ・アメリカンの団体が提訴した事案があり、連邦地裁は“レッドスキン”という言葉はネイティブ・アメリカンに対する差別するものだとして、商標権の取消を認めた。

原告のロックバンドは、「”Slant” が多くのアジア系アメリカ人にとって侮辱的であり差別用語であることは分かっているが、その言葉の矯正を図り何か肯定的な言葉になるようにしたい」と語っている。判事の一人は「マイノリティ・グループに対して良いことは言えるが、悪いことは言えない」と述べており、別の判事は「Tシャツやロゴ、ロックバンドである種の見識を表現することは文化だ」とも述べている。これに対し、被告代理人は「商標の機能は商品・役務の出所表示であり、自分の権利を表現するためのものではない」と反論している。

連邦最高裁判所の結論には、アジア系アメリカ人のほか、多くのマイノリティ・グループが注目している。