商標は指定した商品・役務に対して独占的権利をもたらす。しかし、それは名称を完全に占有できるというものではない。それ故ときには完全同一の標章が異なる分野で併存することもある。
権利範囲を確定するためには、商品・役務の書き方がとても重要となる。指定する商品・役務は将来の事業拡張に備え広めに記載するほうがいいが、分野を広げすぎると他人の商標とバッティングするリスクも高くなる。ある種の柔軟性を求めて類見出し(クラスヘディング)を記載する出願人もいるが、欧州連合司法裁判所における「IP TRANSLATOR」事件の判決後は過去のものとなった。
つまりブライトリングのような状況が起こることは少なくなったと言えよう。ブライトリングは国際登録出願でEUに出願された煙草(34類)を指定した商標「Breitling:ブライトリング」に関して異議申立てを行った。ブライトリングによって登録された商標「Breitling」の指定商品は14類の類見出しのほか、パイプや灰皿(34類)であったが、34類の商品を細かく記載していなかった。だが、相手の商標が34類を指定していため異議が認められた。