ブランド・ファイナンスのグローバル500 2017によると、グーグルが世界で最も価値の高いブランドとしてアップルを抜いて格付けトップになった。グーグルが格付けトップになったのは2011年以来である。グーグルのブランド価値は1095億ドルで、2016年に24%上昇し(882億ドルから)、一方、アップルは1459億ドルから1071億ドルに減少した。ブランド価値は、マーケティング投資、顧客からの親密度とロイヤリティ、従業員の満足度、企業の評判などをベースにブランドの「強み」を金額で算定している。
ブランド・ファイナンスのDavid Haigh最高経営責任者(CEO)は以下のように述べている、「アップルは技術的優位性の維持に懸命で、iPhoneの新バージョンは収益が減少している。iPhoneは既にブランド・サイクルの成熟期に達しているという兆候がある。アップルが独占的な市場シェアを享受している中国市場でも、市場に参入している競合社により競争が激しくなっている。サムスンもこれまで市場シェア獲得に成功してきたが、金融アナリストは、今後収益と収益率の低下を予測している」。
金融サービス:金融サービスの企業はグローバル500の中の20%を占めているが、中でも2016年は中国が大きな勝利を収めている。 中国のブランド価値の成長は、中国における中産階級の成長と成熟した消費者経済に依るものだ。ウェルズ・ファーゴのブランド価値は6%下がったことでランキングを3つ落とし、格付けトップの金融ブランドはICBC(中国工商銀行)になった。しかし、それでもウェルズ・ファーゴは米国で最も価値のある銀行ブランドである。クレジットカードのVisaとMasterCardは、キャッシュレス社会に向けて2016年にそれぞれブランド価値を81%と58%増やした。
メディア:ウォルト・ディズニーは、世界で最も強力なブランドから6位に落ちた。これは2016年のスター・ウォーズがスピンオフ作品で、2015年のエピソード7よりも成功しなかったことが原因である可能性がある。ディズニーの2016年のヒット映画が、スター・ウォーズ:ローグ・ワン(ルーカス・フィルム)、ファインディング・ドリー(ピクサー)、キャプテン・アメリカ・シビル・ウォー(マーベル)と、ディズニーのサブ・ブランドであることが影響している可能性もある。しかしながらディズニーは非常に強力なブランドであり、スター・ウォーズ・エピソード8がリリースされる2017年が注目されており、この映画の成功がブランド価値を再び押し上げるかもしれない。
通信:グローバル500の中でテレコムブランドは40あるが、AT&Tはベライゾンを抜き、最も価値の高いブランドとなった。南米およびメキシコにおける成長により、それらの地域における市場シェアを拡大し、ブランド価値を継続的に高めた。スペクトラムは、チャーター・コミュニケーションズが開発したブランドで、Global 500の中で最もランキングが高い新規ブランドである。テレビ、インターネット、音声通信で最も急速に成長していると言われているが、タイム・ワーナー・ケーブルとブライトハウス・ネットワークスの買収が格付けアップの要因と考えられている。
ノンアルコール飲料:ノンアルコール飲料業界の雄、コカ・コーラとペプシは、より健康的な飲料が好まれる傾向と子供たちの甘味飲料離れにより、それぞれ13位と12位にランクを落とした。スプライトはこのカテゴリー企業のうち、昨年(38億ドルから44億ドルへ)のブランド価値を高めた唯一の企業である。エナジー・ドリンクのブランド、レッドブルとガートレードがエクストリーム・スポーツやアスリートのパフォーマンスアップに焦点を当てたマーケティング活動によりブランド力ランキングをそれぞれ1つ、3つ上げている。
レストラン:世界的なファーストフード店であるマクドナルド、ケンタッキー・フライドチキン、ドミノ・ピザは、ブランド・ランキングを下げ続けている。 マクドナルドはブランド・ランキングで4つ、ブランド価値で9%落としたが、KFCとドミノのピザもそれぞれ27%と16%ブランド価値が減少した。このカテゴリーでブランド価値を一番増やしたのは、カナダに本拠を置くコーヒーとドーナツのティムホートンズでブランド価値は45%増加した。
航空宇宙&防衛:ボーイングとロッキード・マーティンはブランド価値をそれぞれ17%、32%増加させた。ノースロップ・グラマンはグローバル500初めてランキングされた。逆に、エアバスはこのカテゴリーの中で大きな敗者で、ブランド価値が10%落ちた。これは同社の最新モデル、Airbus A380の低評価や受注不足、従業員の削減などが災いしていると見られている。
補足:トップ100に入っている日本企業は、トヨタ自動車の12位(11位から)が最高で、NTTグループが15位(22位から)、三菱グループが35位(31位から)、日産自動車が42位(62位から)、本田技研が52位、ソフトバンクが58位、住友グループが72位、auが75位、日立グループが88位、MUFGが99位であった。
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