ベトナムのIPエンフォースメント制度はここ数年で大きな改善を見せている。特に、科学技術省(MOST)は、特許侵害、不正競争、商標侵害に関連した医薬品分野における多くの複雑な紛争を処理してきた。知財権利者の多くは、MOSTの裁定に満足していることだろう。そして知的財産庁(NOIP)やベトナム知的財産研究所(VIPRI)によって提供された専門家の意見もまたMOSTの判断の先駆けとなっている。またベトナムが今年知的財産権法を改正した際の微調整によって、製薬業界の知的財産をより良く保護することができるようになった。以下はさらなる改善のため提言である。
並行輸入:ベトナムは、医薬品分野における並行輸入規制の強化を検討すべきである。保管条件(気候が異なるなど)やその他の規制要件、原産地に関する誤解を招く情報などにより、外国から品質基準を満たしていない医薬品や消費者を欺くような医薬品を輸入する可能性がある。ハノイ市場管理局(Market Management Bureau of Hanoi)は、薬局をレイド(摘発)し、対象の医薬品を押収し、罰金を課した2016年の事件で証明したように、規制違反が行われている場合には、並行輸入の医薬品の立ち入り検査を行うべきである。
INNを含む商標:ベトナム登録商標の中には、INN(International Nonproprietary Name:国際一般名称)を不適切に組み込んだ多くの商標が存在している。商標登録ではINNを含む特定の状況において異議申立てが自動的に提起され、出願人が非登録性の推定に対する反論を求められるような商標審査制度を採用すべきである。
本文(Vietnam: Improving Pharmaceutical IP Protection)には特許等の情報も含まれている。