2017-02-10

韓国:「法定損害賠償」も商標を使ってこそ認定 ー Kim & Chang

最近、韓国大法院は、法定損害賠償の場合でも自身の登録商標を使わなければ損害が認められないとする法定損害賠償制度の適用要件に対する解釈を出した。(大法院2016.9.30.言渡し2014ダ59712)

法定損害賠償制度は、例えば偽造商標の使用で商標権侵害行為がある場合に損害金額の証明が困難でも一定の限度の法定金額を賠償することができるようにするもので、被害者が簡単に権利救済を受けられるようにする制度である。同規定は、商標権侵害による「実際の損害」とは関係なく、法定金額を賠償するという点で韓国の法律の一般原則である、いわゆる「実損害賠償の原則(損害を被った分だけ補填をする)」の例外規定に該当する。従って、その適用要件は法文に規定された通り、厳格に解釈しなければならない。すなわち商標権者が本規定による損害賠償を請求するには、①商標権侵害当時、該当登録商標を商標権者が実際使用していなければならず、②侵害者が使用した商標が商標権者の登録商標と同じ、または同一性がなければならない。

本件では被告(侵害者)の営業期間に原告または、承継参加人(商標権者)が自身の登録サービス標を使用したと見ることができず、さらに被告の使用標章は登録サービス標と似てはいるが、同一性があるサービス標に該当すると断定できないとし、法定損害賠償の責任請求を退けた。

一方、商標法は①侵害商品の譲渡数量に商標権者がその侵害行為がなかったとすれば販売できた商品の単位数量当たりの利益額をかけた金額、②権利を侵害した者がその侵害行為によって利益を得た場合にはその利益額、③登録商標の使用に対して通常得ることができた金額に相当する金額などを損害額として推定する規定を設けている。

しかし、法院は、上規定もやはり、商標権の侵害事実のみで損害の発生に対する法律上の推定をしたり、損害の発生がないことが明らかな場合まで損害賠償義務を認めようとする趣旨ではないという点を明確にし、商標権者が自身の登録商標を実際に使用していない場合には損害が発生したと見にくいと判示してきた。

本判決は商標権者が法定損害賠償制度を通じて自らの商標権を侵害した者に対し損害賠償を請求する場合でも具体的な被害発生が前提とならなければならず、商標権者が該当商標を登録だけして、実際に使用していない場合には法定損害賠償の責任も認められないという点を初めて確認した大法院判決として意味がある。(弁理士 李瓊宣)