2017-04-19

知財問題を知らずにSNSに投稿できない !- Novagraaf

インターネット・ミームは、インターネットを介して人から人へ、しばしば模倣を伴いながら広がっていく活動、概念、キャッチフレーズ、メディアの一種であり、写真、映像、人物、動物、歌、行動、GIF、その他何でも、どこにでも現れる。過去10年間で指数関数的に拡大しているソーシャルメディアと相まって、もはや社会現象の一部となっている。NovagraafのClaire Jonesがそれらの知的財産問題について検証する。

写真を撮り、キャプションを加えるとミームができる。サポートが必要な場合は、www.memegenerator.netのようなWebツールもあり、分単位に自分のミームを簡単に作成できる。ミームは独自の物語を持ってどこにでも現れる。ウェブサイトwww.KnowYourMeme.comは、ミームとそれらの背後にある物語を見つけ出すのに適している。よく知られているミームには、「Socially Awkward Penguin」、「Futurama Fry」、「First World Problems」などがある。これらはインターネットで人気となっている。それらは、面白くて、共有できて、関連付けることもでき、読みやすく、親しみやすく、そして的を射たものになっている。あらゆる形の創造物であり、知的財産でもある。

ミームに著作権はあるか?
著作権は芸術作品の制作者にその素材の使用方法について排他的に支配する権利を与えるものだ。この権利には、放送する権利や公演する権利、最も重要な複製と改変する権利が含まれる。創作者は作者として特定され、作品の改変に反対する権利を持つ。
誰かが既存の写真に文字を重ね合わせると、これは派生的な作業であり、複製もしているので、著作権侵害を構成する可能性がある。英国では、2014年著作権及び実演家の権利に関する法規(引用及びパロディ)でパロディの創作が可能になった。また、英国は1988年の著作権・意匠・特許法に新しく第30 条のA(風刺漫画、パロディ、模倣作品)を追加したが、これは著作権に関するEU指令を2014年10月に施行したものだ。これには;

(1)風刺漫画、パロディ、模倣作品を目的とした公正利用の場合は著作権を侵害するものではない。

(2)「公正利用」(非商業的研究や調査、批評や検討、現在の出来事の報告を目的とする)は、著作権の例外規定となる。

ミームの著作権者は誰だ?
著作権者には、画像の所有者やその画像を使用してミームを作成した人が含まれる可能性が高い。写真画像代理店として有名な米国のゲッティ・イメージズ(Getty Images)は、著作権を厳しく管理し、知的財産権を行使し、ミームの図書館から画像を使用する人々に使用料を請求することで知られている。ゲッティ社は、適切なライセンス料を支払わずに使用されたように見える画像を検索し、著作権侵害の疑いのある人に対して、自動化されたソフトウェアを使用して連絡している。そのような連絡は頻繁に行われ、手紙は「ゲッティ文書(Getty Letter)」または「ゲッティ恐喝文書(Getty Extortion Letter)」として知られるようになった。

許可なしにミームを使用することは、実質的なリスクを伴うこともあり知的財産問題を避けるためにもミームの所有者を探す価値はある。しかし、何百万人により何か修正が加えられていたり、あるいは共有されているような場合、原作者を探したり、原作者であることを証明することは非常に困難であろう。最もよく知られている例として、「Socially Awkward Penguin」があり、これは数多くの権利行使(著作権)が行われている。青い背景のペンギンの写真は、社会的に厄介(socially-awkward)なシナリオを説明する文章と重ね合わされている。しかし、オリジナルのペンギンの写真はナショナルジオグラフィックの所有物であり、ナショナルジオグラフィックはこのミームを含む複数の著作権侵害事件を解決している。

共有それとも広告?
ミームの「文化」に加わる人と、日和見主義的にお金を儲けようとする人とではかなりの違いがある。もしソーシャルメディアでミームを共有するだけの人は多分大丈夫であろう。ほとんどのクリエイターは、新たなミームのステータスに満足し、創作物の非商用利用に反対する可能性はほとんどない。一部に削除要求を出すミーム・オーナーもいるがまれであろう。異論があり、ソーシャルメディアに対するミームの投稿を阻止しようとしても、おそらく効果がない可能性が高いが、公正の使用を止めようとすること自体が違法となる可能性もある。コンスタンティン・フィルム(Constantin Film)は、2004年の映画「Downfall:ヒトラー~最期の12日間~」のパロディーに対して多くの削除要求を出し、YouTubeはサイト上で削除要求に応じていた。

ビジネスにミームを使いたいと思うか?
画像の使用が直接的または間接的にビジネスまたは商業的な取り組みに関連する場合は、商用利用のため適切にライセンスを取得することが重要だ。そのような画像は、ストック・フォト会社(ゲッティ、シャッターストック、ビッグストック・フォトなど)から入手可能であり、無料の画像(SXC、StockVault、MorgueFileなど)サイトからからイメージを見つけることもできる。
ただし、マーケティングにおける新しいミームの創造は、特に既存の著作物を使用する場合、地雷原にもなり得ることには注意すべきである。商用の使用では、「公正」と見なされる可能性は非常に低く、損害をもたらす可能性がある。さらに、公共分野の​​企業は訴訟の対象とされやすく、悪評によってブランドに対する評判、影響力、信頼を損なう可能性がある。そして、プライバシーとイメージの権利は言うまでもなく、広告基準や比較広告のことも忘れないほうがいい。

ミームは商標として保護されるか?
インターネット・ミームを保護するための商標出願をする際の問題は、そのミームが下火になるまでの期間とスピードだ。ミームは数分のうちに口コミで広がるが、しばしば別の波が来る前に下火となってしまう。しかし、「GRUMPY CAT」や「DOGE」などのようなよく知られる登録商標の例がある。第三者によって商標が保護されていれば、その商標を製品名や広告に使用することで、商標権侵害を申立てられるリスクがある。これは消費者が出所を混同するおそれがあることからだ。

今日はここ、明日には消え去る?
インターネットが急速に発達し、変化しやすいという性質を考えると、一瞬で動き、非常に短命で終わるミームも多い。企業や個人がミームの削除要求をしても、新しいものが替わってポップアップするように出てくる。「ヒトラー~最期の12日間~」のパロディは何年もずっと続けられてきており、有名なガンズ・アンド・ローゼズ(Guns n Roses)のアクセル・ローズは、体重増加に関するミームに対する反論が火に油を注いだだけだった。企業は著作権を含む知的財産法が他の分野と同様にソーシャルメディアにも適用されることを思えておくべきだし、友人と面白いミームを共有する目的で個人に受け入れられるものでも、利益を得ようとしている企業には受け入れられないということもある。商業目的でミームを使用する場合、暗黙の了解などないということを確認したほうがいい。

最後に、ミームはパロディと風刺の一種であり、ソーシャルメディアでは、多くの人々がビジュアルイメージを使ってコミュニケーションを取る第二の言語になっている。ブランド・オーナーにとって、ミームを制御したり、制限したりすることが困難な場合があるが、その使用を奨励するか、潜在的な損害を限定するために反ミーム(counter-memes)を使用することが有益であると証明することで、ブランドとターゲット顧客の関係を強化することができる。

本文は こちら (One Does Not Simply Post memes without reviewing the IP issues)