2017-05-12

インド:医薬品成分名称の排他的独占は不公正 - R.K.DEWAN & Co.

最近、デリー高等裁判所は、インドの製薬会社、サンファーマ(Sun Pharma Laboratories)と Mylan Laboratories&Anrの医薬品商標に関する商標権侵害問題に対する判決を下した。この裁判では、原告(サンファーマ)の商標「OXIPLAT」を被告(Mylan Laboratories&Anr)が欺瞞的に使用しているかどうかが争われた。デリー高等裁判所は、両者の主張を検討した後、パッシング・オフに関して原告の主張を認めず、商標侵害に関する救済措置を却下した。製薬会社の商標として一般名称を採用することについて興味深いものとなった。
原告は、原告商標「OXIPLAT」と欺瞞的に類似すると主張する商標「SOXPLAT」を付した被告製品を最初に発見した時点で、裁判所に訴訟を提起した。訴訟の中間* 段階でデリー高裁は2つの重要な事実を確認した。
* 原告と被告は、同じ製薬/薬品調剤業界に属している

原告と被告は、それぞれ登録商標(OXIPLATとSOXPLAT)を所有している
さらに、裁判所は両当事者がIPAB(Intellectual Property Appellate Board:知的財産審判委員会)で互いの商標登録に対する有効性について争っていたという事実にも注目した。裁判では、原告が商標権侵害とパッシング・オフの請求に関する議論をサポートする様々なケースを根拠とする主張を行い、被告は、原告が原告商標の識別力を証明できなければ、侵害やパッシング・オフに対する差止め仮処分の救済を請求できないと答弁し、さらに、「OXIPLAT」商標の採用にあたり、一般名称であるオキサリプラチン(Oxaliplatin:抗がん剤)の略称を独占しようとしたものではないことの立証責任は原告にあると主張した。また、被告は「SOXPLAT」商標の「Ox」はオキサリプラチンの接頭辞を、「Plat」はオキサリプラチンの中間部から採ったもので、それらを結合して識別力を持たせるために、インド第2位の製薬会社ストライズ(Strides)の先頭文字「S」を接頭辞に付けて「SOXPLAT」を創造したと述べた。

デリー高等裁判所は、製薬分野では治療する臓器の名称、医薬品の主要な成分、病気の名称に由来する薬剤名が採用されることが一般的であるという事実に留意し、製薬会社がそのような名称の薬剤名を使用する自由を他の製薬会社が奪うことはできないと指摘した。判決において、裁判所は両当事者商標の接頭辞として使用した「Ox」と「Sox」は類似しておらず、公衆の間で混同や欺瞞の虞を生じさせることはないとの認識を示した。さらに、原告は、訴訟で被告が主張した商標「OXIPLAT」の採用および獲得した識別力についての立証に失敗し、その結果、デリー高等裁判所は原告に有利な事実を証明する証拠がないとして差止請求を棄却した。デリー高等裁判所はさらに、「医薬品商標の類似性は接頭辞の類似に依存するともいえ、両者の競合する商標が類似する医薬品の主成分等から文字やその一部を引用するならば、順列、組合せの余地はあまりない。ある者に優先権を与えることは、他者の使用を否定することになり、最初の権利者に一般名称の独占を許すことにもなってしまう。これは公正とはいえない。」と判示した。

興味深いことに、デリー高等裁判所は、現在係争中の両当事者が持つ2つの商標の記述的特徴や権利の公正さというような様々な要因に留意したが、原告が商標の先使用者であるという事実を考慮することはなかった。

本文は こちら (No Exclusivity Over Pharmaceutical Ingredient)