インドネシアでは、2016年11月25日に施行された「商標及び地理的表示に関する法律(2016年法律第20号改正)が採用されている。また、2017年2月1日以降有効になった「商標登録に関する法務人権大臣規則(2016年第67号)」は、インドネシアの新しい商標法制度の中でいくつかの重要なポイントを示している。
改正法は、商標登録と更新の形式要件を簡素化し、著名標章の認知のための明確な基準を定め、著名標章に類似しない商品やサービスを指定する商標出願を拒絶できる可能性と出願中商標の譲渡を認めている。以下新しい手順について詳細に説明する。
登録と更新の形式要件:インドネシアは商標の先願主義を採用している。したがって、先に商標登録の出願手続を行った者が優先的に保護されるため、出願日が非常に重要となる。これまでは、出願時に形式書類(委任状及び所有権証明書を含む)が提出された場合にのみ出願日を得ることができ、インドネシア商標局はこれらの形式書類の提出の遅れを認めてこなかった。この慣行は、新しい法規定第4条第1項によって変更され、出願日を取得するための必要要件が、願書、標章見本、商標出願料の銀行送金証明となった。その他の形式書類の提出は、出願日から30日後までの猶予が設けられ、第11条第1項に基づき、優先権証明書の提出期限は優先期間満了日から3ヶ月以内となった。また第24条では、商標更新の形式要件を簡素化するため、商標登録証明書の写しの提出を省略した。
著名商標の基準:以前の商標法で著名商標の概念が導入されたが、著名商標としての認定基準はあいまいであった。この問題は、新しい法規定第18条第1項と第3項で規定されており、商標が著名かどうかの判断基準は以下の通り;
- 関連するビジネス分野における公衆の著名商標としての知識または認知レベル
- 所有者が商標を使用して得た商品またはサービスの売上および利益
- 商標を使用する商品またはサービスのマーケット・シェア
- 使用地域
- 使用期間
- キャンペーンに使用された投資価値を含む販促規模
- 外国における商標出願または登録状況
- 商標権行使の成功のレベル、特に規制当局による著名商標の認識;
- 商標によって保護された商品またはサービスの名声や品質に起因して得られた商標の本質的価値
著名商標を根拠とした拒絶:改正法は、無関係な商品やサービスを指定しているが、著名商標と同一または混同するほど類似している商標を審査官が拒絶できるとしている。これを根拠に拒絶するためには、著名商標の権利者が異議申立てをしなければならない。第19条第3項では、異議は登録された著名商標の権利に基づいていなければならないと規定している。すなわち、異議申立人は異議申立に先立って当該商標を登録しておかなければならない。なお審査官の判断は、異議申立手続きを前提とするため、書面による異議申立てが提出されていない場合、審査プロセス中で審査官が著名商標を配慮するかどうかについての疑問が残る。
出願中商標の譲渡:改正法では出願中商標の譲渡が可能になった。以前は登録商標のみ譲渡できた。しかし、すべての係属中商標が譲渡可能というわけではない。2016年11月25日に新商標法が施行される以前に出願された商標は登録されるまで譲渡することができない。これは第52条による。したがって、改正法施行後に出願された係属中商標のみが譲渡可能となる。
この改正法の導入により簡素化され、明確化された手続きは、ブランド・オーナーの商標登録、更新、および譲渡をよりタイムリーに円滑化するものとなるであろう。
本文は こちら (New Regulation Clarifies Procedures Under Indonesia’s Amended Trademark Law)