ブランド名は地名や国名、地域名称などに影響を受けることがある。コロンビア、モンブラン、パタゴニアなどのブランドが思い浮ぶ。しかし、地理的名称を商標として主張することは難しい。それらは商品の出所表示の標識と見られ、識別力がないとみなされてしまう。これは地理的名称と商品の関係に依存しているからだ。「南極大陸」はコンピュータチップを指定した商標としては登録を認められるかもしれない、それは商品の出生表示とは思われにくいためだ。
一方、「ダブリン(Dublin)」という名前のアルコール飲料ブランドは、ブランド名としてあまり適したものではないのであろう。「ダブリン」ブランドの権利者であるファースト・アイランド・スピリッツ社(First Island Spirits)は、「Dublin’s Own」商標に対して異議申立てを行った。EUIPO(欧州連合知的財産庁)は、ヨーロッパの消費者がダブリンをアイルランドの首都であると認識しており、その理由から識別性が高いとは言えず、保護範囲は識別性と密接に関連しているため保護範囲は狭くなる。そのため、外観の違いによる区別は十分できるとし、異議を棄却した。