商標の類似性は混同の虞にとって非常に重要な条件であるだが、商品やサービスの類似性は別の問題だ。これらは独立した条件で、商標が類似していても、商品が類似しなければ混同は生じない可能性がある。逆に、同一商品を指定していても商標が類似していなければ同じことがいえる。
過去の判例によって、商標の類似性と商品の類似性については独立して互いに補完し合っていることがわかる。商標が非常に似ていれば、商品の類似度が低くても混同が生じる可能性があり、商品が同一であれば、商標の類似度がそれほど高くなくても混同が生じる可能性がある。
最近、この点に適応する異議申立てがあった。商標は「ICEBERG(氷山)」で、ノルトブラント・ノルトハウゼン(Nordbrand Nordhausen)の名前でウォッカを指定して商標登録された。異議の対象は、水、ノンアルコール飲料、フルーツ・ドリンクを指定した同一商標であった。商品は競合しておらず商品の類似度は低いと、EUIPO(欧州連合知的財産庁)は補足した。しかし、商標は同一であったので、商品間の類似度の低くても異議申立てを認めるには十分だった。