欧州の商標法には、商標登録後(又は直近)5年の間に商標権者が指定した商品・サービスで登録商標を使用しないと商標権が取り消されることがある。国によっては5年間ではなく3年間となっている。この期間の使用条件を満たしていないと第三者による不使用取消しの対象となる。
新製品や新サービスの準備に5年以上かかることもあるが、未使用の商標が登録後5年を経過するような場合の解決策としては、商標の再出願がある。しかし、EUIPO(欧州連合知的財産庁)は、このような再出願に対しての審査は厳しい。まったく同じ仕様で未使用の商標を再出願することは当該未使用商標を占有することであり、悪意のよる商標出願や未使用商標の無限の独占を生み出すことになるからだ。しかし、再出願が通常の取引過程の中で行われている場合、例えば、指定商品・役務の範囲が広がっており、善意の使用意思や商標の使用する準備を証明している場合は、再出願が認められることもある。
この問題は、最近クロアチアの企業によって申請されたハスブロ・ブランド「MONOPOLY」に対する無効審判請求で議論された。以前、ハスブロは「-OPOLY」商標に対して異議を申立て勝利している(記事参照)。この被請求人であるクロアチア企業は、ハスブロが商標の使用要件を避けようとしたことが、不正にあたると主張した。EUIPOはこれを認めず、ハスブロの取扱い自体は、不適切かつ詐欺的に使用の要件となる期間の延長を示すものではないと判じた。