インドネシアの改正商標法は2016年11月25日から施行されており、商標制度に対するいくつかの実質的な変更をもたらしている。おそらく最も重要な変更は、商標所有者のポートフォリオ管理に直接影響を及ぼすため、商標の公告に関するものであろう。
商標公告の新しい方法
旧法では、実体審査終了後に商標の公告が行われ3か月間継続した。この間に異議申立てをすることができ、異議申立てがあれば商標出願の再審査を行うものであった。改正法の下では、商標の公告は実体審査前に行われ2ヶ月間継続する。審査官は、出願審査時に申立てられた異議に関する情報も有することになり、この合理化された手続きにより、再審査のステップをなくし、少なくとも理論的には、登録プロセスのスピードが上がるはずである。
デュアルになった商標出願手続き
旧法から改正法に移行するために、インドネシア商標局は2016年11月25日以前の出願が旧法に従って手続きされ、その以降の出願は、改正法に従って手続きされるという二重のシステムを実施している。したがって、出願日によって公告手順が異なることになる。旧法適用では実体審査後に公告されるが、改正法適用では、実体審査前に公告される。
公告件数の増加
商標局の情報では、インドネシアの公告件数は2016年から2017年にかけて大幅に増加した。2016年の12ヶ月間で49,830件の出願商標が公告された。2017年1月から6月までの間で、旧法と改正法の両方で62,277件の出願商標が公告されている。
出願人への影響
公告期間は、出願商標に対して異議を申立てる機会が与えられる。公告期間が3ヶ月から2ヶ月に短縮されたことにより、商標権者は公告商標を監視し、類似する商標を見つけたら直ちに異議申立てを行うことが重要だ。この期間を過ぎると、異議申立ての機会がなくなり、唯一の可能性は商事裁判所に商標の取消しを申請することであり、これは異議申立てより高価で時間がかかる。
さらに、2016年の省令第67号によれば、著名商標の所有者が、当該著名商標と類似するとして、指定した商品・役務区分に関係なく、出願商標を審査官に拒絶してほしい場合は、著名商標の所有者は異議を申立てる必要がある。
重要なことに、異議を申立てる期間はどちらの法律の下で手続きが行われているかによって異なるということだ。興味深い問題は、優先権主張に関してより良い権利を有する者に対する不確実性の形で、この種の並行公告の下でそれ自体を提示した。
優先権書類は、出願日から3ヶ月以内に提出すればよいため、改正法に従って公告された商標は必ずしも優先権を主張するかどうかを確認できるものではない。しかし、改正法では、商標出願は、出願日から15日以内に第14条に基づいて公告されるべきであると規定している。したがって、公告日と優先権書類の提出期限との間にギャップが生じる。
例えば、優先権主張のない商標出願が2017年6月30日に申請され、2017年7月14日に改正法の下で公告されたとする。別の出願人は、2017年2月1日の優先権主張日を有する商標について2017年7月1日に出願し、その出願を2017年7月14日に公告されたとする。優先権書類が公告時点で提出されている場合は、どちらの出願人がより良い権利を持っているのか不確実である。その時点で優先権書類は既に提出されていたはずであるため、事前の権利を実体審査の後で決定することになる。
改正法がもたらした問題で、商標出願人はこれまで以上に公告プロセスに注意を払うことが重要となる。出願人は、公告された商標が自己の商標と類似していると判断した場合は、当該商標の優先日が自己の商標より早いものであっても、異議申立てを申請した方が良い。なぜならば、公告期間中にその優先権が成立しなくなるかもしれないからだ。もし審査官が、実体審査中に申立てられた異議により当該商標の優先権主張ができないと判断した場合、出願人は出願日が早ければ早いほど、より強い権利を有することになるからだ。
本文は こちら (Indonesia’s Amended Trademark Law: Implications of the New Publication Process)